能楽師の有名人!野村萬斎、和泉元彌以外にも観世流、宝生流は能の名門!

能と狂言の役者さんをあわせて能楽師とよびます。

能楽師で有名な役者さんといえば、野村萬斎さんがまず思いつきますね。

野村萬斎さんは狂言方(狂言を専門とすること)で、最近では「狂言師」という呼び方もします。

能を専門とする役者さんを「能楽師」といい、「狂言師」と使い分けたりもします。

しかし、この記事では「能楽師」と「狂言師」を含めて能楽師として扱い、能狂言の有名な役者さんについてお伝えします。

観山流の能楽師・観世清和は、室町時代から続く能の名門!世阿弥(ぜあみ)の子孫!

能楽師の有名人、第一人者といえば、観世流(かんぜりゅう)能楽師の観世清和(かんぜきよかず)さん。

室町時代に、幽玄の能を大成した世阿弥(ぜあみ)の子孫です。

能楽観世流二十六世宗家は、室町時代から続く能の家元です。

規模もお弟子さんももっとも多く、日本でいちばん大きな能の流派です。

 

2021年1〜3月放映された長瀬智也さんが主演のテレビドラマ「俺の家の話」は能楽師が主役のドラマでした。

ドラマに出てきた観山流(みやまりゅう)は、能楽の名門観世流がモデルになっています。

」の文字が両者に共通でした。

 

観世流といえば、昭和の時代にはテレビのインスタントコーヒーのCMが今でも頭の中に焼きついています。

違いがわかる・・・というキャッチコピーまでも。

当時小学生で能がなんたるかも知らなかった私ですが、難しそうな伝統芸能やけど、大人になったらわかるもんかもしれん、とぼんやり思っていた記憶があります。

 

観世清和さんは学習院の初等科から高等科まで、天皇陛下と一緒に学ばれました。

幼いときから父親に厳しい稽古(けいこ)を付けてもらって育たれました。

天皇即位のときには、同級生ということでテレビでもよくお見かけしました。

 

2020年6月には、江戸時代に幕府公認の芸能のかたちだった丸一日かけて能を舞う「五番能(ごばんのう)」を披露されました。

還暦を迎えたのを機に、この大変な能に挑戦されました。

舞うほうも見るほうも1日がかりです。

現在は能の普及活動に熱心で、海外公演にも積極的に取り組んでいらっしゃいます。

(還暦を迎えてますます精力的に活動される観世清和さん)

 

観世清和氏 前妻とは離婚?息子は観世三郎太さんについては、こちらに詳しくまとめています↓

合わせて読みたい

能楽師の先生は私生活がベールにつつまれているほうが、見るほうも想像力をはたらかせる余地があるので、個人的には妻や奥様のことはわたしは積極的に知りたいとは思いません。でも、日本を代表する能楽の名門、観世流宗家の観世清和さんの妻について[…]

『翁』※出典 BS日テレ『祈りのかたち 皇居外苑特別公演』

 

能楽師で有名な役者は野村萬斎、和泉元彌!

「能」と「狂言」を合わせて能楽といいます

能と狂言の役者を合わせて「能楽師」といいますが、最近ではテレビで活躍する狂言の役者を「狂言師」と呼んだりするようになりました。

 

野村萬斎さんは、能狂言のことをあまり知らない人でも知っているほどの有名人です。

映画『陰陽師』で大ブレイク、その後はNHK『にほんごであそぼ』でもレギュラー出演。

にほんごであそぼに出演している野村萬斎・裕基親子
にほんごであそぼに出演している野村萬斎・裕基親子。

映画『花戦さ』では華道家元の初代池坊専好役で出演されていました。

ふだんからのたたずまいが伝統芸能然(ぜん)としているので、この役はハマリ役やと思いましたね。

 

当初は東京2020東京オリンピックで、開会式・閉会式のクリエイティブディレクターに任命されていました。

しかし、コロナ禍で予算の都合で、任務を降りることになりました。

残念でしたが、状況を考えるとしかたないことだったと思います。

 

野村萬斎さんすごい マルチな才能!根っからのエンターティナーと努力のたまもの

合わせて読みたい

野村萬斎さんは狂言師ですが、狂言の範囲にとどまらない幅広いジャンルで活躍中です。ドラマに映画、子ども向けの教養番組やバラエティまで、第一線で活躍する野村萬斎さん。この記事では、野村萬斎さんのすごさについて、私が実際に見た舞台[…]

野村萬斎さんマルチな才能がすごい

 

野村萬斎さんと金沢との縁については、こちらに詳しくまとめています↓

合わせて読みたい

狂言師の野村萬斎さんは、テレビやドラマでも大活躍です。野村萬斎さんは金沢にゆかりがあるということで、石川県立音楽堂の邦楽監督も務めていらっしゃいます。 野村萬斎さんの曽祖父(ひいおじいさん)の代まで金沢在住[…]

野村萬斎、金沢公演のパンフレット

 

このように、野村萬斎さんはマルチに活躍する能楽師として有名です。

最近はバラエティでもよく見かけるようになった和泉元彌さんも有名ですね。

一時期お家騒動やらで大変な時期もありましたが、無事乗り越えられたようでよかったです。

(和泉元彌さんは狂言チャンネルで狂言を発信されています)

関西で有名な狂言師は茂山宗彦、朝ドラおちょやんキャストに抜擢で話題!

能楽師(狂言師)で関西を中心に活躍している茂山家(しげやまけ)も有名です。

茂山宗彦(しげやまもとひこ)さんはNHK朝ドラ「ちりとてちん」で落語家役を熱演し、ブレイクしました。

 

茂山宗彦(しげやまもとひこ)さんは、わたしが初めて見た狂言で狂言のおもしろさを吹き込んでくれた狂言師さんです。

 

合わせて読みたい

茂山宗彦(しげやまもとひこ)さんは、関西では名前を知らん人がいはらへんくらい有名な狂言師です。この記事では、狂言師、茂山宗彦さんの家系や朝ドラ出演などの情報をお伝えします。[adcode]茂山宗彦は離婚して再婚、嫁はどん[…]

茂山宗彦、結婚や子どもは?

 

親しみやすい芸風で定評のある茂山家の中でも、宗彦さんはイケメン狂言師で売ってはります。

現在放映中のNHK連続テレビ小説(朝ドラ)「おちょやん」では、わずか2日の出演で、あっけなく亡くなるという役どころでした(出演は終了)。

(後列右が茂山宗彦さん。ちなみに前列まんなかは、弟の茂山逸平さん。この公演はエンターテイメントだった模様)

茂山逸平は茂山宗彦の弟、朝ドラの常連俳優で親しみやすいキャラで人気!

茂山逸平(しげやまいっぺい)さんも関西では名の知れた狂言師です。

茂山宗彦(しげやまもとひこ)さんの弟で、近所のお兄ちゃんふうの親しみやすいキャラクターが親近感わいて、よいわ〜〜

弟の逸平さんは、親しみやすさが売りです。ほがらかな笑顔が親近感を感じさせてくれます〜。

 

合わせて読みたい

親しみやすい笑顔が好印象の茂山逸平(しげやまいっぺい)さん。京都の狂言の名家に生まれ、狂言一筋に歩んでこられました。関西では兄の茂山宗彦さんと並んで有名です。童顔ですが、40代に入られ芸もさらに深みを増しています。[…]

茂山逸平、妻や息子、家系は?

 

20年以上も前、HNK朝ドラ「京、ふたり」に出演。

今は将棋界のレジェンド羽生善治(はぶよしはる)さんの奥様である畠田理恵(はただりえ)さん(当時)の弟役で、出演されていました。

いまだに記憶に残っています。

 

こう見てくると、NHKと関西の能楽師は相性がよいのでしょうか〜〜

関西では有名な茂山家ですが、全国的な知名度にはまだ少し遠いのかもしれません。

茂山家の狂言は、親しみやすさが売りなので、もっともっと活躍してほしいな〜と願っています。

(右端が茂山逸平さん)

宝生流能楽師の宝生和英(ほうしょうかずふさ)さん、室町時代から続く能楽の名門で若き家元

能楽の名門、宝生流(ほうしょうりゅう)二十世宗家家元、宝生和英(ほうしょうかずふさ)さん。

20代の若さで家元を継ぎ、精力的に活動を行なっています。

 

2021年1〜3月に放映された長瀬智也さんが主演のテレビドラマ「俺の家の話」でロケ地になった、東京本郷の水道橋にある宝生能楽堂。

宝生能楽堂は、宝生流家元宝生和英さんの本拠地です。

 

宝生流二十代宗家宝生和英さん
宝生流二十世代宗家 宝生和英さん ※出典:公益社団法人宝生会WEB http://www.hosho.or.jp/member/979/

宝生流(ほうしょうりゅう)は室町時代に、観世流から枝分かれしました。

その後、蓮阿弥(れんあみ)を初代として現在まで続く能楽の名門です。

 

宝生家(ほうしょうけ)の家系図では、初代の蓮阿弥(れんあみ)は、観阿弥(かんあみ)の子であり世阿弥(ぜあみ)の弟となっています。

ところが、観世家(かんぜけ)の家系図には、世阿弥(ぜあみ)の甥(おい)となっているようです。

事実を特定することはできないようですが、世阿弥(ぜあみ)の家系とは何らかの関係にあったことは間違いないようです。

 

そんな歴史をもつ宝生流も、日本を代表する能楽の名門です。

能楽の宗家としては観世流に次ぐ規模となっています。

 

テレビドラマ「俺の家の話」で、観世流が能楽指導宝生流が能楽堂をロケ地として提供しているのも、業界の事情も忖度(そんたく)してのことかもしれません。

 

二十世宗家、宝生和英(ほうしょうかずふさ)さんは、十九世宗家の宝生英照(ほうしょうふさてる)さんが50代の若さで逝去された後、20代で宗家となられました。

野村萬斎はなぜ有名になった?有名になるにはどんな方法があるの?

野村萬斎さんはその芸風もさながら、狂言以外の世界でも幅広く活躍されています。

狂言の家に生まれ幼い頃から狂言の世界に身を置いてはりましたが、意外にも親に強制されて狂言の道に進まはったわけではないようです。

自分の意思で狂言師にならはったいうことです。

 

野村萬斎さんすごい マルチな才能!根っからのエンターティナーと努力のたまもの

合わせて読みたい

野村萬斎さんは狂言師ですが、狂言の範囲にとどまらない幅広いジャンルで活躍中です。ドラマに映画、子ども向けの教養番組やバラエティまで、第一線で活躍する野村萬斎さん。この記事では、野村萬斎さんのすごさについて、私が実際に見た舞台[…]

野村萬斎さんマルチな才能がすごい

 

まぁ、狂言の家に生まれへんかったら、狂言師になれるチャンスすらそう簡単にはないわけですけれど。

でも、内弟子として入門するという方法は広く門戸が開かれています。

 

それでも、世襲制ではなく、野村萬斎さんは自らの意思で、能楽の道を選ばはったというわけです。

 

合わせて読みたい

「気」って目に見えへんけど、人によっては感じやすかったりしますよね。久しぶりになんか呼ばれたような気がして、晴明神社にお参りしてきました。呼ばれたのでは、という不思議現象は晴明神社に向かっているバスの中で起こりました。[…]

晴明神社

 

日本でいちばん有名な狂言師、野村萬斎さんが有名にならはったんは、挑戦し続ける姿勢が芸を磨き表現の幅を広げはったからやと思います。

狂言師だけにとどまらず、幅広い表現を求めて精力的に挑戦されたことが、今のポジションを築いたのでしょう。

 

芸を磨きながら、メディアとうまくミックスしたことで一気に名を知られるようになりました。

ブレイクのきっかけは『陰陽師(おんみょうじ)』の映画出演でした。

映画『陰陽師』では安倍晴明をストイックに演じられました。

 

陰陽師は平安時代国家公務員だった?政治の大事な決断を占いで決めていた時代、陰陽師は政治を裏で支える重要な役割を担っていました。非科学的と思われるかもしれませんが、安倍晴明が学問を収め生み出した独自の思想が元になっています。

合わせて読みたい

陰陽師(おんみょうじ)といえば野村萬斎(のむらまんさい)さん主演の映画でいちやく有名になりました。映画では式神(しきがみ)をあやつる霊能者のような人物としてえがかれていました。陰陽師(おんみょうじ)は平安時代、霊能者ではなく[…]

晴明神社の安倍晴明の銅像

 

そのあとは引けも切らずテレビ出演。

 

現在放映中のNHK『にほんごであそぼ』でも、狂言の枠にはまらない自由でおおらかなキャラクターで出演中です。

能・羽衣 ※出典 NHK Eテレ『にほんごであそぼ』能・羽衣 ※出典 NHK Eテレ『にほんごであそぼ』
能・羽衣 語りは能村萬斎氏 ※出典 NHK Eテレ『にほんごであそぼ』

最近ではフィギュアスケートの羽生結弦(はにゅうゆずる)選手のプログラムの所作指導も行なわはったそうです。

ますますの活躍に目が離せませんね!

野村萬斎氏と金沢との縁|家系図で曽祖父の出身地 石川県立音楽堂の邦楽監督に就任

合わせて読みたい

狂言師の野村萬斎さんは、テレビやドラマでも大活躍です。野村萬斎さんは金沢にゆかりがあるということで、石川県立音楽堂の邦楽監督も務めていらっしゃいます。 野村萬斎さんの曽祖父(ひいおじいさん)の代まで金沢在住[…]

野村萬斎、金沢公演のパンフレット

 

晴明神社はピンと張り詰めた気、はねかえってくるような強い気がただよいます。見えないバリアが張り巡らされている、そんな独特の空間です。知らず知らずのうちにたまった厄を払いたい、そんなときは晴明神社にお参りを!

合わせて読みたい

「気」って目に見えへんけど、人によっては感じやすかったりしますよね。久しぶりになんか呼ばれたような気がして、晴明神社にお参りしてきました。呼ばれたのでは、という不思議現象は晴明神社に向かっているバスの中で起こりました。[…]

晴明神社

まとめ

能楽師の役者さんの活躍の場はあくまで舞台です。

野村萬斎さんのようにメディアで活躍できるのは、一部の役者さんに限られます。

能楽師はふだんテレビではお目にかかれないことも多いです。

ぜひ、舞台に足をお運びいただき、ライブでお楽しみいただくことが、能楽に親しむいちばんの鑑賞法です。

 

 

能の魅力とは何か?面白さはどこにあるのか?徹底解説!

合わせて読みたい

伝統芸能の中でも能は、とっつきにくくハードルが高く感じられるようです。まして能楽堂に出向くのは気おくれしてしまう人も多いかと思います。むかしのことばで話すので理解しにくく高尚(こうしょう)なイメージがあるのは否定できません。[…]

京都観世会館、能舞台の松

 

 

観世清和氏 前妻とは離婚?息子は観世三郎太さんについては、こちらに詳しくまとめています↓

合わせて読みたい

能楽師の先生は私生活がベールにつつまれているほうが、見るほうも想像力をはたらかせる余地があるので、個人的には妻や奥様のことはわたしは積極的に知りたいとは思いません。でも、日本を代表する能楽の名門、観世流宗家の観世清和さんの妻について[…]

『翁』※出典 BS日テレ『祈りのかたち 皇居外苑特別公演』

 

能楽師は歌舞伎俳優のようにテレビでお目にかかれる機会が少ないので、なじみが少ないかもしれません。そやけど、能楽師にはイケメンの人が多いんですよ。能面の下に隠れたイケメン素顔をたっぷりとご紹介します〜〜

合わせて読みたい

能楽師は歌舞伎俳優のようにテレビでお目にかかれる機会が少ないので、なじみが少ないかもしれません。そやけど、能楽師にはイケメンの人が多いんですよ。能面をかけはると、甘いマスクは能面の下。ちょっともったいないんですけどね[…]

能舞台

 

能面とは何か、意味と種類【 見るポイントわかりやすく5選】美しさの基準とは?

合わせて読みたい

能に親しむようになって10年ほどになります。最近では月に1回のペースで能を鑑賞しています。能面のような顔という言葉がありますが、能に親しむようになって見えてきた能面の別の顔があります。この記事では、能面の種類と美しさ[…]

金沢能楽美術館の展示・能面

 

「俺の家の話」能楽師を主役に据えたドラマ【放映は終了】家元のくらしや、能楽堂のシーンなど、みどころたっぷりでした! 能楽指導は観世流、宝生流の能楽堂も登場しました

合わせて読みたい

「俺の家の話」は能楽師の家元を舞台にしたホームドラマ。2021年3月26日で最終回でした。ドラマは終了しましたが、長瀬智也さん最後の出演作、有終の美を飾るドラマになりましたね〜この記事では、ドラマに登場した能楽の流派[…]

能舞台の松

最後まで読んでくれはって、ほんまにおおきに〜〜ありがとうございます!