野村萬斎さんと金沢との縁|家系図で曽祖父の出身地 石川県立音楽堂の邦楽監督に就任

狂言師の野村萬斎さんは、テレビやドラマでも大活躍です。

野村萬斎さんは金沢にゆかりがあるということで、石川県立音楽堂の邦楽監督も務めていらっしゃいます。

先日金沢まで公演を見に行ってきました。

この記事では、野村萬斎さんと金沢との縁、野村萬斎さんの邦楽監督記念公演の様子について書いています。

野村萬斎さんの家系図をたどると、金沢出身だった

金沢駅、向こうに見えるのは鼓門(つづみもん)。上には野村萬斎のポスターが。
金沢駅、向こうに見えるのは鼓門(つづみもん)。上には野村萬斎のポスターが。

 

野村萬斎さんの家系は、野村萬斎さんから見て曽祖父(ひいおじいさま)の時代まで金沢で暮らしていました。

加賀百万石といわれた金沢の前田家につかえる狂言師でした。

 

明治維新による混乱で武家の芸能だった能狂言が廃れてしまう危機がありました。

当時の武士たちは各家ごとにおかかえの能楽師をかこっていて、式典やお祝い事のたびに能狂言を上演していたのです。

江戸時代、丸一日かけて能と狂言を5曲ほども上演していたといいますから、実に平和で時間的にもゆったりした時代だったのでしょう。

 

しかし、明治維新で近代国家へと舵取りされて方向が変わり、士農工商の身分制度も廃止され、能狂言は存続の危機に直面したのです。

そんなとき、東京の能楽界を廃れさせてはいけないと、金沢で活躍していた初代野村萬斎は上京したのです。

初代野村萬斎が、今の野村萬斎さんの曽祖父、つまりひいおじいさまです。

野村萬斎さんは石川県立音楽堂の邦楽監督に就任

野村萬斎さんはそんな金沢との縁もあり2021年春、石川県立音楽堂の邦楽監督に就任されました。

野村家のルーツは金沢にあるので、金沢の文化発展に寄与していきたいと就任にあたっての抱負を述べられています。

東京から金沢までは乗り継ぎなしに新幹線1本で行けるようになりましたから、便利になりました。

 

石川県立音楽堂は、邦楽専用の邦楽ホールがあります。

朱色の邦楽らしい色のイス、舞台周りには伝統工芸の彫り物で縁取られ、桟敷席もあります。

能舞台は設置されていないのですが、邦楽専用のホールということです。

邦楽ホールは、金沢らしい雰囲気がありました。

金沢には前田家のお殿様が好んだという、ベンガラの赤い壁、朱壁(しゅかべ)があります。

お茶屋さんなんかで見かけるつやっぽい赤壁です。

邦楽ホールの壁が、朱壁に塗られていました。

艶っぽくて、華やかな色です。

石川県立音楽堂の邦楽ホール、前から7列目から舞台を見た様子
石川県立音楽堂の邦楽ホール、前から7列目から舞台を見た様子。翁の演目に合わせてしめ縄が宙に浮かんだ舞台美術。イスは背もたれが高く背中までホールドしてゆったり座れる。
石川県立音楽堂、邦楽ホール
石川県立音楽堂の邦楽ホール。舞台まわりは伝統工芸の細工が施されている。
石川県立音楽堂、邦楽ホール
桟敷席は2段ほども高くなっていて、特別感が味わえる。
石川県立音楽堂、邦楽ホールの桟敷席
石川県立音楽堂、邦楽ホールの桟敷席。二段ほど高くなっていて、見通しが良い。周りの壁は金沢独特の朱壁(しゅかべ)。ベンガラのつやっぽい色味。

野村萬斎さんは役者であり、演出家、根っからのエンターティナー

野村萬斎、金沢公演の番組表
野村萬斎、金沢公演の番組(パンフレット)

2021年10月30日(土)野村萬斎邦楽監督就任記念公演が開催されました。

 

記念公演では野村萬斎さん、息子の野村裕基さん、父親で人間国宝の野村万作さん、3世代の共演となりました。

豪華でした!

 

人間国宝で野村萬斎さんの父・万作氏については、こちらに詳しくまとめています↓

合わせて読みたい

テレビドラマ「俺の家の話(2021.3月終了)」の中でも「人間関係」が話題になっていました。人間国宝とはどんな制度で、能楽師の人間国宝はどんな人がいるのでしょうか。この記事では、能楽師の人間国宝についてお知らせします。人[…]

人間国宝の野村万作氏 ※出典 BS日テレ『祈りのかたち  皇居外苑特別公演』

 

野村萬斎の息子 野村裕基さんについては、こちらに詳しくまとめています↓

合わせて読みたい

野村萬斎さんの息子、野村裕基さんは狂言師として活動の幅を広げています。この記事では、HNK『古典芸能への招待』で能の演目『船弁慶』のアイ狂言の役柄や、親子共演したくもんのCM、HNKにほんごであそぼの情報をお知らせします。野村萬[…]

野村裕基は野村萬斎の息子で狂言師

 

まずは新年やお祝い事に欠かせない能の演目『翁』の狂言の担当パーツである「三番叟(さんばそう)」です。

ここで野村萬斎さんの演出が光ります。

 

能・翁については、こちらに詳しくまとめています↓

合わせて読みたい

かねてより一度は観たいと切望(せつぼう)していた能・翁を観てきました。この記事では、翁の鑑賞記をお届けします。【能・翁初鑑賞記】感想と見どころ揚幕(あげまく)から行列をなして現れた演者の列。出だしからしていつもの能の演目とは[…]

『翁』を演じる観世清和氏 ※出典 BS日テレ『祈りのかたち 皇居外苑特別公演』

 

ふつう、「三番叟(さんばそう)」は、黒い翁(おきな)の面をつけて老人に扮し、一人で舞うのですが、

さすが野村萬斎さん、息子の野村裕基さんとのダブルの舞を披露してくれました。

演目は「三番叟 双之舞(さんばそう そうのまい)」

もちろん演目はオリジナル!

おめでたさ2倍といった感じです。

こういった予期せぬ演出は世阿弥がといた秘すれば花だと、感心しましたね〜

「秘すれば花」とは、簡単にいうと観客が予想もしていなかった演技をさりげなく見せることです。

 

「秘すれば花」については、こちらにもっと詳しくまとめています↓

合わせて読みたい

世阿弥が能の理論をまとめた「風姿花伝」。700年以上も前に書かれた本ですが、ビジネス書として今改めて注目されています。中に収められていることば「秘すれば花」、聞いたことがある人も多いかもしれません。この記事では、「秘[…]

花

 

三番叟(さんばそう)では、力強く土を蹴ってジャンプする場面が何度もあります。

そのジャンプ力たるや!

すごいです。

跳ねています!

エネルギー全開といった感じです。

翁とは、老いさらばえた老人ではなく高齢のめでたさと生命力をたたえるおめでたい意味があります。

見ているほうも元気になりおめでたさをおすそわけされた気分が味わえました。

野村萬斎さんの演出は、金沢弁をまじえた愉快な笑い

野村萬斎、金沢公演のパンフレット
野村萬斎、金沢公演のパンフレット。親子3代揃い踏みで見応えがありました。

能村萬斎さんは、石川県立音楽堂邦楽監督ということで、演出にも携われたということでした。

2番めは、地元の演劇人や子どもたちも出演して笑いの絶えない楽しい舞台でした。

伝統芸能を現代風にアレンジした創作狂言とでもいいましょうか。

紗幕(しゃまく:演劇の舞台で使ううすい幕)ごしにシルエットが映し出されるしかけもあり、

いわゆる影絵ですね

広がりのある舞台でまた思いがけない演出も満喫できました。

 

さらにときどき、金沢弁を使ったセリフの言い回しもあり、地元の人たちから拍手と歓声が上がっていました。

見る人を喜ばせるサービス精神と、エンターティナーとしての自覚にプロ意識を感じましたねー。

 

テレビでの活躍でもいい意味で期待を裏切る演技が光りますが、舞台でも同じように期待を裏切ってくれました。

野村萬斎さんの活躍からますます目が離せません。

楽しくすてきな舞台をありがとうございました。

野村萬斎さんの舞台が終わったあとおみやげが!

野村萬斎金沢公演のおみやげ
野村萬斎金沢公演のおみやげ
野村萬斎、金沢公演のおみやげのおせんべい。
野村萬斎、金沢公演のおみやげのおせんべい。公演終了後に受付で配られた。萬斎さん手書きの縁起良い文言が。

 

野村萬斎の息子 野村裕基さんについては、こちらに詳しくまとめています↓

合わせて読みたい

野村萬斎さんの息子、野村裕基さんは狂言師として活動の幅を広げています。この記事では、HNK『古典芸能への招待』で能の演目『船弁慶』のアイ狂言の役柄や、親子共演したくもんのCM、HNKにほんごであそぼの情報をお知らせします。野村萬[…]

野村裕基は野村萬斎の息子で狂言師

 

人間国宝ので野村萬斎さんの父・万作氏については、こちらに詳しくまとめています↓

合わせて読みたい

テレビドラマ「俺の家の話(2021.3月終了)」の中でも「人間関係」が話題になっていました。人間国宝とはどんな制度で、能楽師の人間国宝はどんな人がいるのでしょうか。この記事では、能楽師の人間国宝についてお知らせします。人[…]

人間国宝の野村万作氏 ※出典 BS日テレ『祈りのかたち  皇居外苑特別公演』

 

最後まで読んでくれはって、ほんまにおおきに〜〜ありがとうございます!