世界の山ちゃんは、鳥の手羽先が人気の居酒屋チェーン。
名古屋を中心に関東、関西にも出店している、風変わりな鳥男の看板が目印のお店です。
創業者社長の山本重雄さんは2016年、59歳で急逝(きゅうせい)されました。
後を継いだのが奥さまの山本久美さん。
この記事では、それまで専業主婦だった山本久美さんがどうして凄腕経営者になれたのか、そのワケについて探っています。
世界の山ちゃん社長の山本久美さん、凄腕経営のワケ
小学校の教師を辞めて結婚し、家庭に入った山本久美さん
夫の急死によって急きょ経営者を継ぐことになり、ゼロからのスタートでした。
専業主婦から凄腕経営者になれたのは、努力はもちろん、
経営者の妻時代からの山本久美さんの人生哲学が導いた結果だと、わたしは思います。
経営者の妻である社長夫人が、山本久美さんのような人格者ばかりであれば、世間の中小企業はもっと働きやすくなるのに
と、思います。
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上に立つものは威張らない
上に立つ人は威張っちゃダメ!
山本久美さんはそういいます。
山本久美さんが社長になるにあたり、
役員や従業員たちに「歳をとった新入社員だと思って接してください」と言いました。
なんという腰の低さ、謙虚さ!
経営者の奥さんには、キツい人もいます。
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行動で示す
社長になった山本久美さんは毎朝、従業員と同じ時間に出勤して会社の外を掃除しています。
亡き夫から受け継いだ会社を、大切に守っていこうという姿勢を行動で示しています。
従業員は社長の行動を思っている以上に見ています。
社長も自分たちと同じ時間から掃除している、そんな様子から従業員との信頼関係が築かれていくのでしょう。
世の中には「重役出勤」で、10時ごろになって出勤してくる社長もいます。
山本久美さんの会社や従業員を思う態度は素敵です!
っていうか、社長ってこれがあたりまえ。
内助の功
山本久美さんは経営者の妻時代、基本、会社の経営には関わっていませんでした。
でも唯一の関わりは、毎月発行していた手書きのかわら版(からわらばん)。
お客様に向けたメッセージを手書きして、お店に張り出す壁新聞です。
社長である夫の山本重雄さんや社員から情報をもらって毎月手書きしていました。
今の時代に。手書きなんですよ、手書き!
こういうのを内助の功といいます。
会社を継ぐ決め手になったのも、このかわら版「てばさ記」だったと久美さんは語っています。
亡くなった夫の葬儀を済ませバタバタの波が終わり、抜け殻のようになっていたときふと、「てばさ記」を書かなければ、と思ったのです。
かわら版を書くことで会社に関わり、その仕事は思った以上に会社愛を育んでいたことに気づかされたといいます。
「てばさ記」が気づかせてくれた会社愛。
責任感
カリスマ経営者を亡くした世界の山ちゃんには、買収の話が次々と持ちかけられました。
しかし、今の状況で、誰かに経営を任せるのは無責任だと考えました。
幹部たちは経営を任せられるほどまだ育っていない。
買収されて利益優先の方針になってしまったら、夫が育てた世界の山ちゃんのよさが失われる。
外部から人材を入れたら、今まで積み上げてきたものが失われてしまう。
ここは自分が継ぐ仕事だと、確信したと語っています。
悩んだ結果、覚悟を決め、責任感から社長を継ぐと決めました。
山本久美さんは、夫が亡くなるまで経営には口出しもしていなかったのに、若手が育っていないとか、会社の事情をよく見ていらっしゃいますね。
人格者
山本久美さんは、謙虚で腰が低く、従業員への感謝を忘れません。
給料日には社長直々に手渡しで、お給料を渡します。
従業員には感謝のことばを添えて給料を手渡ししています。
世界の山ちゃん社長の山本久美さん、経営者のかがみ
従業員には
「歳をとった新人のつもりで接してください」
「私は経営の素人なので何もわからないから教えてください」
取引先には
「助けてください」
山本久美さんは社長を継ぐ決意をして、従業員や取引先にこのようにいいました。
自分のことばで率直な思いを口にしました。
創業者である夫と同じようにはやれない。
自分の今の立場、状況を明確にしておくことで、
新しい社長を盛り立てていかなくては!まわりはそんな思いになったのではないでしょうか。
戦略的にではなく、素直な、社長を引き継ぐにあたっての不安や決意が入り混じった生きたことばだと思います。
こういうことばを使えるって、なかなかできることではありません。
しかも、それまで経営者の妻。
本来、経営者と従業員とは対等な関係といいつつも、世間体的には従業員より上にいた人です。
生きたことば、本心からのことばは、人に届きます。
思いが伝わります。
謙虚です。
人格者です。
世間では経営者の妻が経営に口出しし、現場のことを知らないくせに指摘するケースも多々あります。
そういう経営者の妻はたいてい目の上のたんこぶ扱いされています。
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しかし、山本久美さんは違いました。
それまで経営者の妻として陰で会社や夫を支え、いざとなったら矢面に立ってリーダーシップを発揮する。
状況に合わせてしなやかに動けるのは、哲学を持って生きてこられたからだと思います。
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山本久美さんは、直接会社に関わってこなかったけど、見るべきところはしっかり見て内助の功を発揮された。
ふだん会社に顔を出すことはなくても見えない部分で社員との間に信頼関係が築けていたからこそ、いきなり社長になっても従業員がついてきたのです。
世界の山ちゃん社長の座に就いた妻の山本久美さんの経歴
山本久美さんは、結婚前小学校の先生でした。
結婚後は、家庭に入り専業主婦として子ども3人を育て、夫の経営する世界の山ちゃんを陰ながら支えていました。
そんな中、夫の山本重雄さんが急死されたあと、10日後には社長を継ぐ決心を固められました。
教師、バスケットボールのコーチの経験もあり、人を育てるスキルはもともと持っておられた。
子どもも会社も人を育てるという意味では、基本は同じです。
人を育てるにはまず信頼関係を築くところからスタートです。
山本久美さんは教員時代、児童に愛情を注ぐことを心がけていました。
愛を持って寄り添えば、人は必ずついてきてくれる。
教員時代の経験が、店舗経営にも生きていると語ります。
経験は他の場面で応用して生かされます。
社長を継いで数年後、コロナの流行があり苦しい経営を迫られました。
それでもしなやかさを忘れず、今できること、目の前のことに集中しました。
置かれた立場で最大のパフォーマンスを発揮することの大切さを教えてくれます。
すばらしい社長の誕生に拍手を送り、世界の山ちゃんのますますの発展と山本久美さんを応援しています。