家族経営は息子に甘い?モヤモヤする理由と向き合い方|世阿弥<離見の見>

日本にある会社のうち99.7%が中小企業です。

 

珠緒
ほとんどやん!
そうなんです!パナソニックやトヨタなどの大企業はひとにぎり、あとはほぼ中小企業が日本の経済を動かしているのです。
パナソニックやトヨタでさえも、出発点は家族経営からでした。
中小企業には同族経営のイメージがつきまといますが、まったくそのとおりで、全国にある企業278万のうち96.3%が「同族会社」となっています。

※国税庁会社標本調査(2020年度)

家族経営の悩みは、今に始まったことではありません。

身内だからこそ甘さが出る。公私の境界があいまいになる。組織としての規律が崩れるーーこうした問題は、時代を超えて繰り返されてきました。

室町時代、能を大成した世阿弥もまた、一座(組織)を率いる中で同じ課題に向き合っていました。

著書『風姿花伝』には、芸論だけでなく、組織をまとめるための本質的な考え方が記されています。

それは、身内や感情ではなく、「客観的な視点」で人と組織を見ること。

家族経営の会社では、父親が社長、息子が専務というポジションについているのはよくあるかたちです。

本記事では、家族経営のリアルな現場をひもときながら、世阿弥の教えに学ぶ「組織を崩さない視点」を解説していきます。

世阿弥が説く後継者選びとは?

では、室町時代に一座を率いた世阿弥は、この問題をどのように考えていたのでしょうか。

結論からいえば、たとえ実子であっても、実力がなければ後継者にしてはならない、という非常に厳しい考え方でした。

世阿弥は、後継者選びは実子であっても実力がなければ任せてはいけないと説いています。

身内の存続よりも、事業が安定して続いていくかをまず考えなければならない、という視点です。

世阿弥のいう「家、家にあらず。継ぐをもて家とす」とは、家とは建物や血筋ではなく、芸(仕事)を継承してこそ成り立つものだ、という意味です。

つまり家業は血縁の延長ではなく、組織として存続できるかどうかで判断されるべきものです。

そのためには、離見の見の心をもって大局的に物事を見極め、後継者を選ばなければならないのです。

家族経営、息子に甘いのはなぜ?

しかし、世の中の同族企業は、身内に甘い親子関係が多い現実を、わたしは以前の勤務先で目にしてきました。

息子は父親の背中を見て育ってきたのでしょう。

一度は外に出て世間を知るも、2代目社長になって父親の跡を継ぐべく、戻ってきました。

 

実の親子でも、大人になると積み上げてきたものも違う、価値観も違ったりして、ギクシャクすることはよくあります。

会社では社長と専務、お互いに気を遣いあいながらうまくやっていこうと努力しているのですが

はたから見て、父親である社長が息子に甘いと思える場面を目撃してきました。

一例を挙げてみます。

  • 息子の従業員に対する態度がデカいのに注意しない
  • 息子の家庭の光熱費を、会社の経費で落としている
  • 息子の不始末の尻拭いを、社長である父親がする
  • 会社の経費で息子一家と食事に行く
  • 会社の経費で息子に高級車を購入する

思うに、家族経営の社長が息子に甘いのは、会社の未来を託す息子に良い思いをさせて、事業を継いでほしい親のエゴなのではないでしょうか。

珠緒
それにしてもいくら自分の会社とはいえ、会社を私物化するとは、従業員にはおもしろくない話です。

 

家族経営、息子に甘い現場を見た!

レベルの低い職場|家族経営で息子が専務の場合<公私混同の同族あるある、ストレス限界>
レベルの低い職場|家族経営で息子が専務の場合<公私混同の同族あるある、ストレス限界>

家族経営の会社では、跡取りの息子に機嫌よく仕事をしてもらわないと困る

そんな親心が頭をもたげるのでしょうか。

一般常識では考えられないような、息子への甘さをこの目で見たわたしの経験談をお話します。

 

フロアの一画にある応接コーナーで、ディーラーと社長、2代目ボンが車の契約を進めていました。

会社の未来を託す息子へのプレゼントは高級輸入車だったのです!

どうやらボンが、この車でないとイヤって駄々をこねたようです。

 

会社の経費で外車

まぁ、これは中小企業の社長によくある話で、車はれっきと経費で落とせます。

しかし、身内に甘い特別待遇は、心象的に許せず不満を持つ社員がいるのも事実です。

 

会社横の駐車場に輸入車独特のエンジン音が響く。

時計を見れば10時をゆうに過ぎています。

あたりまえのような顔をして重役出勤するボン。

 

あたりまえなんか〜い!

輸入車に乗って出勤するのも、従業員が8時から働いているっていうのに、連絡もなく遅れて出勤するのも!

みんな見ていますよ、あなたのその態度。

家族経営あるある、2代目が偉そう!

能力が大したことない人に限って偉そうにするのは、よくあることです。

家族経営の会社では、ボンが偉そうにしているケースが散見されます。

なんでもいちいち否定してみたりとか、いかにも自分は博識ですよ、といわんばかり、態度が鼻につきます。

 

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ボンは社長の息子だったり、娘婿(むすめむこ)だったりしますが、

私がこれまで見てきた二代目はほぼ、態度がデカかったですね。

偉そうにしているのは、自信のなさの裏返しであることが多いのです。

本当に能力がある人は、むしろ控えめで礼儀正しいです。

 

家族経営のヤバすぎる現実!同族会社では公私混同があたりまえ!

会議
家族経営の会社では、役員の椅子はすべて同族が占めている

家族経営の会社は独自のルールが存在します。

それは、従業員がとうてい納得できない理不尽なルールです。

家族経営のあるあるを見ていきましょう!

休日に謎の社内レクレーションがある

わたしが以前勤めていた家族経営の会社は、休日に社内レクレーションと称するバーベキュー大会や、お寿司やさんでの食事会がありました。

そこには、家族を一人連れてくるという意味不明のルールがありました。

家庭を持っている人は妻や子ども、独身の人は親を連れてきている人もいましたね。

今思えば、わけわからない謎の「強制休日出勤」でした。

アットホームな会社が謳い文句(うたいもんく)

アットホームな会社です このうたい文句には注意が必要です。

従業員は家族 こんな昭和な文言も同じく要注意です。

社員は、会社に家族を求めてはいません。

会社はスキルと時間を売って給料を稼ぐところ。

創業者の家族になりたい、そんなこと誰も望んでいません。

お昼は当番制で手作り

以前勤めていた設計事務所、お昼は毎日、輪番で手作りしていました。

設計という仕事柄、キッチンに立って使い勝手を検証しながら設計に生かすのがねらいでもありました。

最初のうちこそ楽しかったものの、納期が立て込んでくるとお昼ごはんつくっている場合じゃない!!!

ってなることもしばしば。

小さな会社だからこそのコミュニケーションの方法だと経営者は考えていたのでしょうが、毎日となると苦痛しかありませんでした。

経営に関して意見を言いにくい

家族経営の会社は、社長の奥さんが経理、息子が専務、その嫁も専務、役員はすべて身内でかためられています。

そんな状況では経営や事業に関して、意見が言いづらいです。

社長の社用車が高級車、しかも経費で落とす

社長の車が高級車、これも家族経営にはありがちです。

しかし、高級車を経費で落とすことに問題はありません

プライベートでの使用が主な高級車でも、少しでも事業で使うことが証明されれば全額経費で落とせるのです。

珠緒
これ経費の抜け道ってやつ

なので、中小企業の社長が高級車を所有しているケースはよくある話です。

法人化すると、会社の経費で身内の車を購入することになんら問題はありません。

経理や経費面では間違っていなくても、なぜ高級車なのか、お高い輸入車なのか。

従業員にしたら心象的に、高級車を買う金があるなら給料上げろ!と感情面で納得できないのですよ。

経営方針が親子で違い従業員が混乱する

これも家族経営ではありがち。

社長の命令は〇〇。

でも専務の息子の方針は△△。

現場はいったいどっちに従えばいいの?!

方針は、家族間同志ですり合わせしておいてくれなきゃ困ります!

珠緒
船頭多くして船山へのぼる、っていましめもあります

夫婦げんかの続きを会社でする

どうやら社長と奥さんは昨日の夜ケンカしたみたい。

距離感が近い分、家族の事情までもが敏感に伝わってくるのが、家族経営の会社。

社長と奥さんの気まずい空気を感じ取った従業員は、あぁ仕事がやりにくい!

珠緒
家庭の問題を会社に持ち込むのは、やめてほしい!

娘がアポなしで会社に遊びにくる

社長の娘が、アポなしで遊びにきます。

お気楽に突撃会社訪問ですかぁ??

こっちは納期の仕事かかえて、すみませんが相手している時間ないんですけど。

子どものおむつを会社で替える

娘は保育園のお迎え帰りに子ども連れでやってきます。

かかえたマザーズバッグからミルクやらおむつやらを取り出し、おむつ替えをされたときには、託児所じゃない!!ってさけびそうになりました。

お気に入りの社員を昇給させる

家族経営の会社は人事評価基準があいまいです。

というか、明確な基準がありません。

お気に入りの社員がいつの間にか昇格していることもあります。

家族旅行を経費で落とす

家族経営の会社は、家族旅行を経費で落とします。

利益を税金で持っていかれるなら、楽しく家族旅行して、交際費で落とすというわけです。

家族会議の飲食代を経費で落とす

経営会議と称した家族会議の食事代ももちろん、経費で落とします。

一族で高級ステーキ店で舌鼓を打った領収書が、交際費に回されます。

経費の決裁をするのは奥さんなので、誰にとがめられることなく経費チェックを通過します。

家族の光熱費を経費で落とす

旅行に食事代とくれば、もはや光熱費くらいで驚きません。

むしろ、

光熱費は経営者としての健康な暮らしに直結するものだけに、経費で落とすのは当然ともいえます笑

従業員の経費にはいちいちうるさい

自分の家族の光熱費はおろか、高級車、家族旅行の費用まで経費で落としているくせに、事務用品などの経費には異常なほどうるさいです。

ボールペン1本に至るまでこと細かにいちいちうるさく「経費節減」をさけびます。

細かいお金にはうるさいくせに、高級車など大きなお金は気前よく使う。

珠緒
金銭感覚が狂っているとしか思えません。

 

このように、同族会社では独自のあるあるが存在します。

 

つぶれかけた地方の小さい旅館から、一大高級リゾート路線のホテルへとシフトした星野リゾート。

星野リゾートももと地方の家族経営の会社でしたが、どんな舵取りをして事業をここまで大きくしたのでしょうか。

 

家族経営あるある、従業員はお手伝いさんではありません!

以前家族経営の会社に勤めていたときのこと、

お昼どきには、会社のキッチンで、社長の奥さんと一緒に昼食のお味噌汁を作らされていました。

 

はい、大根切って、油揚げを刻んで、仕上げにネギ、

という具合に、アシスタント的な役割を押し付けられ。

珠緒
わたし、上沼恵美子の料理アシスタントかいな?

で、できたらみんなに配る。

 

アットホームな会社をアピールしているつもりだったのでしょう。

でも!こっちは迷惑。

なぜ業務と直接関係のないことをしなければならないのか。

意味不明の奉仕活動でした。

家族経営あるある、身内を優先

家族経営のあるある、身内をかばい守ろうとします。

経営者の奥さんは、社長を陰であやつるナンバー2。

社長は奥さんの言うことに絶対的な信頼を置いています。

奥さんをかわいがり、奥さんの言うことを素直に聞き経営にいかそうとします。

 

奥さんは社長を尊敬し社長を盛り立てます。

 

外部の意見よりも奥さんの意見が正論、身内優先です。

 

こうなったら、従業員はおもしろくありません。

社長と奥さんが仲良いのは良いことですが、身内意識が強く出過ぎて、従業員はしらけてしまいます。

何を言っても無駄、どうせ奥さんの意見が採用される。

身内の馴れ合いに、従業員の心は離れていきます

家族経営あるある、奥さんがキツい嫌い!

経費
家族経営あるある!家族の光熱費を平気で経費で落とすくせに、従業員の経費はチェックが厳しい

中小企業の家族経営では、奥さんの存在はとても大きいです。

経営者を支えている奥さんですが、従業員にはキツい態度をとる人が、世の中には多いのです。

 

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家族経営の奥さんが経営に関わってはいけない理由、会社が混乱する

 

でも中には、経営者の奥様でも人格者の方もおられます。

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チューリップ

 

奥さんは上から目線、書類のチェックや経費の精算にもいちいちうるさくつついてきます。

なめられまいとする負けん気の強さからでしょうか。

珠緒
逆に従業員にこそ、気を遣う思いやりが必要だと思いますけどね

 

 

このように、家族経営の会社には理解に苦しむ謎ルールが存在しています。

会社は経営者の分身でしょうか?経営者の持ち物でしょうか?

だからといって、身内を優先する経営体質は、真面目に働く従業員の士気を下げます。

 

その違和感は間違っていない!家族経営で感じるモヤモヤとの向き合い方

家族経営の中で働いていると、ふとした瞬間に、言葉にしづらい違和感を覚えることがあります。

なぜこの判断なのか、なぜこの人が優先されるのか——理由がはっきりしないまま、気持ちだけが引っかかることもあるでしょう。

そうしたモヤモヤは、自分の心が狭いからでも、考えすぎているからでもありません。

組織をきちんと見ようとしているからこそ、生まれる感覚です。

室町時代に世阿弥が説いた「離見の見」は、本来、そうした曖昧さに流されず、物事を客観的に見つめるための視点でした。

その視点を、自分の中に少しだけ持ってみる。

それだけでも、今までとは違う距離感で、この環境を見つめられるかもしれません。

この違和感を抱いたこと自体が、すでに一歩なのだと思います。

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最後まで読んでくれはって、ほんまにおおきに〜〜ありがとうございます!