【秘すれば花】わかりやすく解説 !言わぬが花との違い・意味|世阿弥の著書『風姿花伝』】

世阿弥が能の理論をまとめた「風姿花伝」。

700年以上も前に書かれた本ですが、ビジネス書として今改めて注目されています。

中に収められていることば「秘すれば花」、聞いたことがある人も多いかもしれません。

この記事では、「秘すれば花」の意味と、時代を超えて受け継がれる芸の真髄についてお伝えします。

「秘すれば花」意味をわかりやすく解説!

芸は人々に感動を与えるものです。

思いもよらない感動を与えられたとき、それを「花」といいます。

演技の中で、さりげなく花を見せられる。

軽々しく人に話してしまってはどんなにすばらしい演出や演技であったとしても「花」ではなくなります。

 

見る人が、この場面のこの表情こそが、「役者の花だった」と感じてもらえたら成功です。

役者にとって「花」は、観客に感動を与えるキモであり、お家芸として大事に守っていかなければなりません。

人には話してはなりません、と世阿弥はいいます。

 

観客に期待をもたせずに、思ってもいない感動をもたらすことができるのが本当の「花」なのです。

思いもよらない感動、目新しさを呼び起こす芸こそが、能における花です。

 

現代のことばにおきかえると、「花」とは「サプライズ」のようなものでしょうか。

不意打ちで、思いがけない感動を与える。

 

珠緒
はっとさせられる演技は、事前には予測できないから、「花」なんですよねぇ。

 

相手に心の準備をさせることなく不意打ちに受け取った感動は、何倍もうれしいはずです。

手の内を明かさずに、感動を与える。

そのこころが「秘すれば花」です。

 

確かに、サプライズは不意打ちのほうが驚きと感動も大きいですね!

 

「秘すれば花」の意味の真髄、世阿弥が伝えたかった「花」とは?

能を演じる上での感動ポイントや見どころは、観客に伝えてはいけません。

なぜなら、おもしろいかどうかは観客が判断することであって、演者のほうから「ここがおもしろいですよ」とアピールするものではないからです。

こう聞くと、不親切なのではと思うかもしれませんが、世阿弥は能のプロとして演技で感動を伝えることを大事にしていたのだと思います。

感動ポイントや見どころは、人に知られないようにそっと準備して、舞台で感動を与えるのがプロの能役者。

大事なお家芸は人に知られることなく自分の中で大切に守り、ここぞという場面で力を発揮するのです。

そうすることで、「花」は価値を生むのです。

世阿弥は、能楽の観世家を後の世まで末長く続くよう願いを込めて、お家芸を大事にしなさいと言いたかったのだと思います。

「秘すれば花」世阿弥のことばがモチーフとして使われたドラマ「俺の家の話」

2021年3月で放送が終わった「俺の家の話」では、「秘すれば花」がモチーフとして使われました。

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1つには、阿部サダオ率いるムード歌謡グループ「潤 沢」の持ち歌として

2つには、さくらが寿一に恋しているときまさに「秘すれば花」状態でした。

さくらの秘めた様子が色っぽくて、戸田恵梨香さんの演技が本当に上手でした。

「秘すれば花」で世阿弥が伝えたかったこと「言わぬが花」は同じ意味?

「秘すれば花」とよく似たことばに「言わぬが花」があります。

「言わぬが花」は、はっきりと言わないほうが値打ちやあじわいがあることです。

「秘すれば花」は、言わないどころか、秘密があることさえかくしておきなさいという教えですから、「秘すれば花」のほうが、秘密度が高いといえますね!

「言わぬが花」は余計な一言は言わないようにという、いましめの意味合いもあります。

 

「秘すれば花」の意味は恋愛にも通用する?

「秘すれば花」は、恋愛にも通用します。

女性はすべてを見せてしまわないで秘密の部分をもっておくほうが、ミステリアスです。

自分だけの秘密は人に見せずに大事にとっておきましょう。

大事にしている部分が「花」、価値があるものなのです。

すべてをさらしてしまうと、価値がなくなります。

珠緒
聞かれてもいないことを自分からペラペラしゃべるのは、自分の価値を下げることになりますよ。

「秘すれば花」世阿弥の著書「風姿花伝」との関連は?

「秘すれば花」は世阿弥が能の理論をまとめた「風姿花伝」の中に収められている章「花伝第七 別紙口伝」に出てくることばです。

この章には、演技の「花」について、哲学的な視点で書かれています。

いつも同じ「花」ではなく、そのときの流行や観客の好みによって、ふさわしい「花」を用意して見せることが大切であると書かれています。

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珠緒

わたしも秘密を隠し持って生きていきたいと思いました、めざせ!ミステリアスな50代(笑)

 

最後まで読んでくれはって、ほんまにおおきに〜〜ありがとうございます!