狂言とは簡単に|はじめてでも楽しめる面白い演目 衣装・意味と有名なセリフも解説!

狂言は、もともと能とセットで演じられる伝統芸能ですが、こんにちでは狂言単体でも上演されることが多くなりました。

狂言師の野村萬斎さんや茂山逸平さんの活躍で、狂言に親しみを感じていらしゃるかたも多いかと思います。

狂言とは?お笑い?簡単に解説!

能舞台の松と竹
京都観世会館 能舞台の松と竹

狂言とは簡単に言うと、お笑いの寸劇です。

今でいう漫才に近いです!

会話のベースにあるのは、庶民の出世欲や物欲などで、労使関係にある主人と家来がことばで応酬を繰り広げる会話劇です。

昔も今も変わらない人間の本質や欲望に、笑いとユーモアをまぶして世の中の不条理を笑いに昇華させています。

欲望を欲望のままに表現してはその次元から脱することはできませんが、「笑い」をミックスさせたことで文化の高みに成長したのです。

狂言の意味とは?

そもそも狂言ということばには、でっち上げたり大げさにいうとか、だますための芝居という意味があります。

珠緒
新聞の三面記事に載る「狂言自殺」とかもその意味で使われますね〜(悪い例ですみません)

狂言に登場する芸達者な演者たちは、おもしろおかしく大げさに、身ぶり手ぶり体全体で、うそやホラを堂々と語ります。

しかも、自分が正しいといわんばかりに!

こんなところからも、狂言が狂言たる所以(ゆえん)であると、思います。

家来の身でありながら、雇い主の主人に悪びれもなくうそをごまかす姿に明るい笑いがあり、しかも見ている人の共感を誘うところにおおらかさがあります。

だって、現代だったら悪事を働いて言い訳やごまかしをしようもんなら、コンプライアンスの問題に発展しますから!

狂言の登場人物は庶民

能舞台の模型
能舞台の模型 橋掛かりの前には3本の松がある

登場人物は、一般市民。

なので、太郎冠者 次郎冠者という呼び名がついています。

現代でいう、佐藤さん、鈴木さんのようなものですね!

冠者(かじゃ)とは家来という意味です。

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竹林

 

狂言の衣装、能とはここが違います!

狂言の登場人物は一般庶民なので、衣装は簡素です。

能のような豪華絢爛な衣装はつけません。

太郎冠者の基本的な衣装は、着物に袴(はかま)です。

着物の上には肩衣(かたぎぬ)といわれるベストのような形の上着をつけます。

肩衣(かたぎぬ)は質素な狂言の衣装の中でも、おしゃれのポイントになる衣装です。

背中に大胆な絵柄が描かれていたりしますから、後ろ姿にも注目して見てください。

狂言の足袋(たび)は卵色です。

能は白。

室町時代、狂言は能よりも格が下だったため、神聖さに通じる「白」はつけず、卵色をつけた由来に基づきます。

狂言の有名なセリフと面白さ!

狂言のセリフは、能にくらべてだんぜんわかりやすいです。

耳で聞いて話の流れから理解できるセリフまわしで劇が進みます。

よく出てくるセリフをご紹介します。

心得た

わかりました

かしこまってござる

かしこまりました

やるまいぞやるまいぞ

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竹林

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附子、棒縛り、二人大名です。

ストーリーも単純明快で、人間の欲望があらわになった筋立てはおなかを抱えて笑えるはず。

 

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最後まで読んでくれはって、ほんまにおおきに〜〜ありがとうございます!