能では、舞台の上で独特の歩き方をします。
足の運びともいいますが、足の裏を床につけたまま前に押し出すようにして歩きます。
この記事では能の歩き方について解説しています。
そして、
能楽師の足運びの色っぽさについても書いていますので、最後までお読みいただけるとうれしいです
能での歩き方はすり足
能は、日常生活ではとらないような動作、体の使い方で表現する伝統芸能です。
能は「型」を使って演じられます。
体の使い方も特殊なら、歩き方も独特です。
床に足を添わせたまま、擦る(する)ようにして歩きます。
上半身は動かさず、下半身だけを動かして、すり足で前に進みます。
上半身は上から糸で釣られているように意識してまっすぐに保たれ、揺れません。
茶道でも基本足はすり足ですが、能の場合はスピードがさらにゆっくり、一歩一歩精神を集中させます。
歩き方からも緊張感が伝わります。
能での歩き方、足運びに感情が出る!
このように能ではゆっくり歩きますから、足先の表情も観察できます。
まぁふだん、足の表情なんて観察することもないでしょうし
観察対象になるとも考えないと思います。
わたしも、能の魅力を知るまでは、能の足の運び方に興味をもっていませんでした。
ところが、あるとき、能楽師の足の運び方を見て、なんて美しい、色っぽい、とすり足の美しさを見てしまったのです!
足の指先をわずかに反らせてすいっと持ち上げる表情は、ことばでは言い表すことのできない感情が
込められているように見えました。
足先にまで神経を研ぎ澄ませた能楽師の足の運びに、うっとりとしました。
上手な役者さんは、足の指一本、指先にまで感情を込めることができるのですね。
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能での歩くスピード
ゆっくりのときは感情の安定しているとき
早足、急ぎ足、ときには飛び跳ねたり、感情の乱れが、歩き方、足の運び方に出ます。
悲しみ、怒り、悔しさ、懺悔(ざんげ)など、能のモチーフの大多数を占める負の感情を表現するとき
足の運びや、歩き方、歩くスピードなどでも調整しています。
歩き方や早さなど、ただ歩いているのではなく緩急つけることで、感情を表現しています。
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能での歩き方は直線、並行、垂直
能では、体の向きを変えるときや、進む方向を変えるときなど、そこに見えない角があるように
緩急をつけて方向を変えます。
まっすぐ進んで、90度曲がるイメージです。
能での歩き方は、直線、垂直が基本です。
直線、垂直は幾何学的なかたちで、緊張感を伴う形です。
なぜ直線、直角など幾何学を意識した動きになっているかといえば、能舞台のつくりと、能面の事情などがあるからです。
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能面をかけたシテ(主役)は、両目の小さな穴だけが、自分の位置を把握する頼りです。
能舞台には、目付柱といって、能面をかけたシテ(主役)が、目印にする柱があります。
目付柱の位置を体に覚えさせて立ち位置を把握するため、まっすぐを意識して歩きます。
このようにシテ(能面をかぶった主役)は、
小さな穴から見える舞台の木目などわずかな情報から、自分の立ち位置や空間を認識しているのです。
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最後まで読んでくれはって、ほんまにおおきに〜〜ありがとうございます!