こんなトップのもとで働きたい!
そう思わせてくれる映画が『海賊と呼ばれた男』。
会社は社会を豊かにする組織と定義し、社員と固い信頼関係を築き大きな功績を成し遂げた男。
映画『海賊と呼ばれた男』の国岡鐡造(くにおかてつぞう)は正義感と情、情熱をバランスよく持ち合わせた経営者のかがみです。
映画に出てくる国岡商店のモデルは出光興産をおこした出光佐三氏、設立当時は出光商会と名乗っていました。
この記事では、映画『海賊と呼ばれた男』の主人公・国岡鐡造の経営者としての魅力について書いています。
国岡商店モデルの『海賊と呼ばれた男』出光興産の出光佐三
終戦後の混乱と喪失感の中、石油にかける男たちの執念を描いた『海賊と呼ばれた男』
2016年に公開された映画です。
わたしは封切り直後に映画館で観て、感動に震えが止まりませんでした。
モデルは出光興産の創業者出光佐三(いでみつさぞう)。
出光興産といえば、女性の横顔がトレードマークのガソリンスタンドです。
ガソリンスタンドはじめ、石油精製や石油関連商品を幅広く扱う企業です。
『海賊と呼ばれた男』は、創業者の出光佐三をモデルにした実話がもとになっています。
岡田准一さんが出光佐三役の国岡鐡造(くにおかてつぞう)を風格たっぷりに演じ、国岡にしか見えない見事な演じぶりでした。
どんな苦境に立たされようとも、決してあきらめずに挑戦し続ける国岡鐡造(くにおかてつぞう)は、一本筋の通った人物として描かれます。
第二次世界大戦はエネルギーをめぐる戦争でした。
その戦いに敗れ、会社も社員も失った戦後の日本で、
石油という資源をめぐって日本を豊かにしたい一心で、危険を顧みず(かえりみず)行動に出ます。
映画のスケールも大きいのですが、国岡鐡造という人間もスケールの大きな人物として描かれています。
海賊と呼ばれた男、モデルとなった国岡鉄造のリーダーとしての生き方!
海賊と呼ばれた男で描かれる、国岡商店の社長、国岡鐡造(くにおかてつぞう)は、敗戦で何もかも失いました。
外地で戦った店員(社員)たちを失い、会社も倒産の危機。
残った店員たちも希望を失い、リストラされるのかとやけになっていました。
そんなとき、国岡鐡造(くにおかてつぞう)は、残った社員の雇用を継続することを決めます。
会社が潰れるかどうかという最大のピンチにも、人は財産と言い切る器の大きさ!
これぞリーダーのかがみ!
命さえあれば、どんな危機も乗り越えられると、骨太の精神力で店員(映画では社員のことを「店員」と読んでいます)を鼓舞します。
「店員」とは、おそらく、国岡商店がまだ小さな店だったときの呼び方をそのまま使っているのでしょう。
経営危機になるとまっさきに切るのは人、という経営者が多い中、社員も会社も守るという姿勢にリーダーの人間性が表れています。
まして現在とは時代背景も違い、今よりもっと厳しい時代だった終戦直後の混乱にも関わらず、店員はみな家族、わいが守る!という姿勢に、目頭が熱くなりました!

『海賊と呼ばれた男』モデルの映画のあらすじと感想
終戦後、国岡c(くにおかてつぞう)は店員を集めてゲキを飛ばします。
「愚痴(ぐち)をやめよ!」
日本が大戦に負けたことを悲嘆した店員たちの口から出るのは、今を嘆く言葉と将来の不安ばかり。
そんな店員たちに、「愚痴をやめよ!」と言い放ちます。
敗戦した事実は変えられません。
失った命も戻ってきません。
大事なのは、覚悟を決めて未来を変えていくことです。
さらに、会社が倒産寸前という危機を前にして
「会社は何もかも失ったが、いちばん大事な財産が残っている」
「店員といういちばんの財産が残っている」

店員たちを鼓舞(こぶ)し、一人も解雇しないと約束するのです。
すばらしい!!
会社存続の危機に直面しようとも、社員を守る懐(ふところ)の大きさ!
なんと人としての器がでかいことよ!!
時代も歴史経緯も違う現在と、単純に比べることはできませんが、
エネルギーをめぐる戦争(太平洋戦争)で敗戦し、何もかも失った大企業の社長が、社員も会社も立て直すという意気込みは、まさに社長の鑑(かがみ)です。
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しかし、会社の財産もすべて失い、収入も途絶えたのに、店員(社員)の給料はどうやって払うのか?
解雇しないと、会社は倒産する、と心配する役員たち。
国岡鐡造(くにおかてつぞう)は、自分の財産(絵画や骨董など)を売りに出して金を工面(くめん)するのです。
加えて、仕事がなかったら自分たちで作り出すんや!と言い、ラジオの修理や、重油のくみ出しなど多角経営で経営難を乗り切ろうとします。
私利私欲におぼれ、私財を肥している(こやしている)どこかの大企業の経営者もいましたが、そういう人にこそこの映画を見てもらいたい!
会社存続の危機に直面しようとも、社員を守るふところの大きさ、経営哲学をつらぬいています。
『海賊と呼ばれた男』モデルの出光興産、國岡鐵造(くにおかてつぞう)タンク底をさらえるシーンで示される器の大きさ!
世の中にはカリスマ社長、ワンマン社長、2代目社長など様々なタイプの経営者が存在します。
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不祥事を起こした企業のトップが頭を下げ、テレビカメラの前でフラッシュを浴びる姿も今や普通の光景。
そんな残念な経営者の姿を見慣れた身には、国岡鐡造(くにおかてつぞう)の器のでっかさにほれぼれします。
体を張って店員と会社を守る国岡鐡造(くにおかてつぞう)の姿に心を打たれます。
映画で軍の石油タンクをさらえる場面があります。
タンクの底に残った重油をバケツリレーで汲み出すシーン
過酷な労働、今ならブラック企業といわれるような労働でさえも、この時代ならではの一種独特の高揚感とともに描かれます。
戦場で地獄を見て復員した店員たちは口々に戦場よりもマシだ!と言い合いながら、タンク底をさらえます。
そんな現場を社長の国岡鐡造(くにおかてつぞう)は目の当たりにして、作業に加わり店員とともに油まみれになりながら重油汲みをするのです。
文字どおり体を張った骨太の経営者。
時代背景の異なる現代にそのまま当てはめることはできませんが、
社員を家族のように大切にする経営者としての姿勢に、こんなトップの下で働きたいと自らを重ねる人もいるでしょう。

あの時代に、就活生の人気企業ランキングなるものが存在したとしたら、間違いなく国岡商店(くにおかしょうてん)は上位にランクインしていたでしょう!
わたしも国岡鐡造(くにおかてつぞう)の人柄に惚れました。
一度でも、あんなトップの下で働いてみたい
そんなふうに思わせてくれる映画!
わたしにとって変化のはじまりとなった2017年、この映画に出会い将来を考えることになるのです。
具体的には転職を考え始めました。
それは、國岡鐵造(くにおかてつぞう)の社長像に惚れ込んだたからです!
どんな困難にもくじけず臆せず大胆な構想と野心を持ち、店員(社員)を思いやる懐(ふところ)の大きさに、経営者のあるべき姿をみました。
わたしに夢と感動を与えてくれた岡田准一さんはじめ、キャストのみなさま、スタッフのみなさま、すばらしい映画をありがとうございます。

『海賊と呼ばれた男』モデルのくにおかてつぞう、妻のユキとは離婚!経営者としては成功したが、家庭は幸薄かった
国岡鐡造(くにおかてつぞう)は、経営者としては手腕をふるい成功しましたが、家庭は必ずしもしあわせではありませんでした。
最初の妻・ユキは、子どもができなかったこともあって自分から離婚を申し出て国岡のもとを去りました。
ユキは、仕事一筋で家庭をかえりみなかった夫に寂しい思いも持っていたようです。
映画では、ユキ役の綾瀬はるかさんが、ユキの心情を抑えた演技で表現していました。
映画では、さらっと描かれるにとどめられていますが、あれだけの大事業を成し遂げた経営者でも、仕事も家庭も両方手に入れるのは難問だったようです。
妻にも店員に接するような情をかけていれば・・・と、国岡鐡造(くにおかてつぞう)は後悔したのではないでしょうか。
『海賊と呼ばれた男』よくない評価もあるようだけど?
映画『海賊と呼ばれた男』は同じ百田尚樹の小説で映画化された『永遠の0』と比較して興行収入(こうぎょうしゅうにゅう)は四分の一とふるわなかったようです。
評価は人それぞれですから、興行収入が前回よりふるわなかったといって、内容がつまらなかったのかといえば、そうではありません。
原作が上下巻にわたる大作だったのに比べ、映画では詰め込みすぎだとか、いろんな意見があるようですが。
ここでは原因を探るのは置いといて
わたしは原作と映画とはまったく別のエンターテイメントであると考えています。
わたしは心が震え、ハンカチなしでは観られないほどの作品でした。
この映画を観たことが、数年後に会社をやめるきっかけのひとつにもなりました。
経営者の姿勢に心を打たれました。
社員こそが会社の財産と、会社の存続危機においても人を優先する国岡。
石油で日本を豊かにするという目標をかかげ、正義感と情熱で、ビジネスを成功に導きました。
社員も国岡の気持ちに応え、一丸となってアメリカの巨大勢力に立ち向かいます。
情熱と勇気、男のロマンが存分に味わえるスケールの壮大さに、心震え胸がすく思いが味わえます。
国岡鐡造は、世の経営者の鑑(かがみ)だと激しく思います!
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