クラウドファンディングで話題になっていた新作能「白雪姫」を見てきました。
白雪姫はおなじみグリム童話で、子どもの頃多くの方が親しんだ童話です。
グリム童話を能狂言に仕立てるとなると、どんなふうになるのか?
時代背景も文化も違う西洋の童話を、どのように日本の古典芸能に落とし込むのか?
期待を裏切らない鮮やかな演出、脚本、演技にすっかり心をもっていかれました。
見終わったあと、めくるめく多幸感が押し寄せ、夢の世界からさめないまま能楽堂を後にしました。
この記事では、新作能「白雪姫」の感想と見どころ、感動ポイントについて書いています。
新作能の白雪姫は能狂言の新しい試み!野村太一郎さん主演・演出
新作能「白雪姫」は能狂言を初めて見る人や、若い世代にも楽しめる内容となっています。
そもそも新作能って何??
って方もいらしゃるかと思います。
新作能とは
【新作能】
昔からある能狂言の演目ではなく、現代に新しく創作された物語や、他の作品を題材に新たな演出を加えて別の作品に仕立てたもの
昔から続く古典の能の魅力については、こちらに詳しくまとめています↓【能の魅力・面白さをわかりやすく】能を見るハードルが下がる徹底解説!
伝統芸能の中でも能は、とっつきにくくハードルが高く感じられるようです。まして能楽堂に出向くのは気おくれしてしまう人も多いかと思います。むかしのことばで話すので理解しにくく高尚(こうしょう)なイメージがあるのは否定できません。[…]
新作能「白雪姫」はグルム童話の「白雪姫」を題材に、能狂言の特徴をいかした味付け、アレンジが加えられていました。
全体に流れるのは、野村太一郎さんが、能狂言の「狂言」の部門をになう狂言師だけに、狂言がベースになっています。
狂言は笑いの芸能、愉快なやりとりの部分は狂言をベースに、
その中で、シリアスなシーンには、しっかり「能」の要素が組み込まれています。
女王(お妃:おきさき)がおなじみのセリフ「鏡よ鏡、この世でいちばん美しいのは誰?」を口にするシーンは、仮面をつけて「能」要素に。
能と狂言の垣根をこえた融合、新しい試みをみてとることができました。
どこからどこまでは「狂言」
この部分は「能」など、そんなことを意識させないくらい、能狂言がひとつにとけあって新しい世界を見せてくれました。
新作能白雪姫
野村太一郎さんが渾身の演技を見せる、新作能「白雪姫」
野村太一郎さんも、この新作能「白雪姫」を若い世代に見てもらいたいと語っています。
野村太一郎と野村萬斎は師弟関係、家系図は?野村万蔵さんを離脱・独立してよしもとと契約?
野村太一郎さんは、狂言界の若きホープ。このところ活躍が目立ちます。2021年に吉本興業と契約したことでも話題です。この記事では、野村太一郎さんの活躍と野村萬斎さん、野村万蔵さんとの関係についてお伝えします。[[…]
新作能「白雪姫」で野村太一郎さんは女王と魔女の2役を演じました。
女王は能面をつけてティアラを乗せて、格調高い貴族を表現。
このティアラがまた能の装束や雰囲気とも不思議にマッチしていて、すてきでした〜
若い世代にはきっかけがないと足を向けにくい能狂言という古典芸能。
新作能は、そんな若い世代にも気負わず楽しめます。
予備知識なしで見ても、理解できます。
実際、会場には若い世代の姿が目立ち、初めて能狂言を見たという人も1/3ほどいました。
野村太一郎さんの願いが届いたのでしょう。
新作能「白雪姫」、グリム童話を大胆にアレンジ
新作能「白雪姫」はみごとな構成、演出でした。
見終わったあと、多幸感につつまれました。
幸せが舞い降りてくるような、これまでの能にはないしあわせなラストに心が満たされました。
いつまでも拍手が鳴り響いていました。
グリム童話のアレンジも流れも自然で違和感なく取り入れられ、
あぁ、童話がこのように能狂言になるとは、予想以上の感動です!
新作能「白雪姫」は能と狂言の新たな融合
狂言の中に能を包んで、全体に流れるベースは能狂言の融合。
従来の能と狂言のかたちにはない、新鮮な演出と日本語のリズムのおもしろさ。
洋と和の融合であり、狂言と能の融合でもあり、
まさしくこれは新ジャンルではないか、と思ったのであります。
新作能「白雪姫」の豪華なキャスティング、野村裕基さん、観世三郎太さん、大槻裕一さん
新作能「白雪姫」はキャスティングも豪華です。
今をときめく若手能楽師がずらり勢揃い。
観世流能楽師の観世三郎太さん
人間国宝・大槻文蔵さんの芸養子で注目の、大槻裕一さん
野村萬斎さんの息子で狂言師の野村裕基さん
注目の若手が揃い踏みする舞台は、フレッシュな活気に満ちていてパワーが感じられました。
【鬼滅の刃 野村萬斎が企画・演出で能狂言に!】若い世代にも楽しめるエンタメに期待!2022年夏・冬公演
2021年、大ヒットしたコミック・映画の鬼滅の刃(きめつのやいば)。国民的大ヒットとなった「鬼滅の刃」が2022年、野村萬斎さん演出・出演で能狂言化されることが決定しました。2022年夏に東京、2022年冬に大阪での開催が決[…]
【能と狂言の違い】簡単に説明!同じ舞台で演じられる理由とは?
能と狂言ってどう違うん?どっちも、むかしのことばで演じる伝統芸能やん?能も狂言も能舞台で演じるからおんなじもんと違うん?そんな疑問に、能と狂言の違いをわかりやすくお伝えします。[adcode]能と狂言の違[…]
能楽師の有名人!野村萬斎、和泉元彌以外にも観世流、宝生流は能の名門!
能と狂言の役者さんをあわせて能楽師とよびます。能楽師で有名な役者さんといえば、野村萬斎さんがまず思いつきますね。野村萬斎さんは狂言方(狂言を専門とすること)で、最近では「狂言師」という呼び方もします。能を専門とする役[…]
観世清和氏 前妻とは離婚?息子は観世三郎太さん、能楽師として活躍中!
能楽師の先生は私生活がベールにつつまれているほうが、見るほうも想像力をはたらかせる余地があるので、個人的には妻や奥様のことはわたしは積極的に知りたいとは思いません。でも、日本を代表する能楽の名門、観世流宗家の観世清和さんの妻について[…]
最後まで読んでくれはって、ほんまにおおきに〜〜ありがとうございます!