【五山送り火】意味と歴史 スピリチュアルな密教行事、宗派を超えたお盆の風物詩|豆知識|

京都の夏の風物詩、五山送り火は、いつ頃どのようにして始まったのでしょうか。

今や祇園祭と並んで観光イベントになっている五山送り火ですが、実は宗教と密接なつながりがあり、祈りの宗教行事であることは意外と知られていません。

この記事では五山送り火の意味と歴史、宗教との関連をひもといてわかりやすくお伝えします。

五山送り火、意味と歴史 大文字焼きとどう違う?

五山送り火の大の字、大文字山で赤々と燃える
五山送り火の大の字、大文字山で赤々と燃える

お盆行事となっている五山送り火ですが、起源は室町時代にさかのぼります。

一説では地元の人たちが松明(たいまつ)を燃やし先祖の霊を見送る風習がはじまりといわれています。

火を燃やして供養するのは、密教の護摩供養の祈りのかたちです。

護摩供養(ごまくよう)とはものを焼いて煩悩(ぼんのう)を焼き払い宇宙と一体になり悟り(さとり)を得るのです。

 

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京都にはお寺が多いことはご存じかと思いますが、それぞれの宗派は共存共栄しています。

浄土真宗、日蓮宗、臨済宗、曹洞宗、天台宗、真言宗・・・

禅宗、密教、浄土真宗などほんまに多くの宗派が共存してるのが、京都の町いうところです。

 

五山送り火のはじまりは、京都に疫病(えきびょう)がはやったとき、弘法大師が病(やまい)をしずめるために行った加持祈祷(かじきとう)がはじまりという説もあります。

はじめは村ごとの規模の小さな護摩供養だったものが、江戸時代になり、大勢の人に見てもらうためにお盆の行事と結びつき、現在の形になったと考えられています。

 

ちなみに、京都では、大文字焼きとは言いませんので、ご注意ください。

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確かに五山送り火を代表する「大」の字は大文字山に点火されます。

大文字焼きと言いたくなるんもわかりますけど、大文字山だけではなく、五山すべてで、京都の町全体で、立体曼荼羅(まんだら)を繰り広げるのが五山送り火です。

五山送り火、豆知識

五山送り火の鳥居型、曼荼羅山で赤々と燃える
五山送り火の鳥居型、曼荼羅山で赤々と燃える

ご先祖様のことを、おしょらいさんと言います。

先祖の魂=精霊(しょうりょう)を親しみこめて呼んだのが「おしょらいさん」

なんか、ご先祖さんが身近な人に思えますよね。

京都ではご先祖様に限らず、お豆腐やお揚げなど食べ物などにも「さん」をつけます。

お揚げさん、お豆さん、八坂さん(八坂神社)、お稲荷さん(稲荷大社)など。

 

五山送り火のひとつに鳥居型があります。

宗教行事やのに、鳥居って神社やん!なんで?って不思議やったんですよね、子どものときから。

そのそも古来より神仏習合(しんぶつしゅうごう)の考えがあり、神様も仏様も同じ信仰の対象として区別なく信仰されてきました。

なので今でも、お寺の中に鳥居があったりと共存している例を見ることができます。

 

五山送り火は宗教行事ですが、鳥居型に火を焚きつけるのは神仏習合の名残ともいえます。

五山送り火はスピリチュアルな宗教行事?宗派を超えた祈りの行事

五山送り火は、お盆で迎えたご先祖様をふたたびあの世へ送り返すとき、足元を照らすための送り火という説がもっとも有名です。

しかし、歴史をひもとくと、五山送り火は京都の町を立体曼荼羅に見立てた祈りの大空間なのです。

京都に疫病が流行したとき、弘法大師さんが疫病を鎮めるために加持祈祷した大がかりな護摩供養がもとになっています。

弘法大師は東寺に鎮座して、大の字と左の大の字に大日如来を置き、舟形、鳥居、妙法をそれぞれ配しました。

弘法大師のお寺は真言密教の東寺です。

東寺で加持祈祷しながら、京都の町に立体曼荼羅を繰り広げて疫病の終息を祈りました。

 

このように弘法大師空海が指揮をとって行われた五山送り火は、江戸時代になって、さらに規模を拡大し今のかたちになったといわれています。

 

それでもいちばんの謎は、宗派の垣根を超えて、五山送り火が連綿(れんめん)と受け継がれていることです。

弘法大師空海は真言密教の僧ですが、現在五山送り火で山に点火するときにお経を読む宗派は浄土宗と日蓮宗です。

宗教の垣根を超えた祈りの行事が成り立つのですから、信心ってすばらしいなって思います。

腹に思うことはいろいろあっても表だって争いごとを好まない京都の人の気質もあったのでしょう。

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