金沢能楽美術館「写謡」能のワークショップ|能楽師に教わる能の見方・楽しみ方

きっかけさえあったら一度は能を見てみたい、と思ってはる人は意外に多いと思います。

そやけど能は、見方や楽しみ方がわからへんかったら難しいものというイメージがあります。

そんな人におすすめなのが、金沢能楽美術館のワークショップ「写謡(しゃうたい)の会」。

能楽師の方を講師に迎えて、月一回開催されていますよ。

この記事では、金沢能楽美術館の「写謡(しゃうたい)の会」についてお伝えします。

金沢能楽美術館「写謡」は能のワークショップ、能楽師が演目のあらすじや見どころを解説

能のワークショップ
能のワークショップ「写謡の会」は気軽に参加できる

2013年から続いているワークショップで、講師は活躍中の能楽師の先生です。

毎回、早々に定員に達してしまう人気のワークショップです。

この日の講師はイケメン能楽師の渡邉茂人(わたなべしげと)さん。

能楽師渡邉茂人さん
宝生流能楽師・渡邉茂人さん ※出典:公益社団法人宝生会WEB http://www.hosho.or.jp/member/1071/

まず、能の演目のあらすじと見どころについて能楽師の先生から解説を受けます。

演目「絵馬」に登場する伊勢神宮内宮の天照大御神(あまてらすおおみかみ)。
ふつう天照大御神は女性の神様ですが、宝生流では男の神様とされています。

一般には知られていないこんな情報が得られることも、能楽ファンにはたまりません!

前半と後半ではストーリー展開がガラッと変わリます。後半の天鈿女命(あまのうずめのみこと)と、手力雄命(たぢからおのみこと)が二人で同じ舞を舞います。二人の息がぴたりとあったところが見ものです。
上下横見えへんのに息を合わせるって、能楽師の方は人間を越えた力をもってはりますね〜、すごいわ。
面(おもて)をかけていると、上下横ほぼ視界ゼロ

など能楽師サイドのお話も聞けたりして、レア感満載!

能に親しむ入り口にもなります。

能楽師の渡邉茂人さんの能は何度か観ているのですが、こんなに間近でしかも面(おもて)なしの素顔でお目にかかれるなんて、夢のようなひとときでした。

能のワークショップ、能の謡本をもとに書き写す写謡

解説のあとは、謡本の一節を書き写す「写謡(しゃうたい)」です。
「写謡」とは、写経のように写すことから学芸員さんが作られた造語です。

流れるような筆づかいののお手本に半紙を重ねて、なぞっていきます。

筆ペンなんてふだん使う機会がほぼないのに、文字をなぞるのはとても楽しく、満ち足りた気持ちになります。

能のワークショップ
能のワークショップ「写謡の会」お手本を下にひいてなぞるだけ、簡単です

ただなぞるだけなので、文字に自信のない人でも全然心配は要りませんよ。

写すことで、謡(うたい)に使われている言葉の響きの美しさを味わうことができます。

謡を実際にうたってみる

金沢能楽美術館、セミナールーム
ワークショップ写謡の会が開かれる金沢能楽美術館3階のセミナールーム。松と竹が描かれた屏風、一の松、ニの松、三の松もセッティングされています。

「写謡」ができたら、能楽師の先生と一緒に謡(うたい)を実際に声に出してうたってみます。

声に出すことで、先ほど書いた文字が立ち上がってきます

ポイントは腹式呼吸、おなかから声を出すようにと教えていただきました。

ひと続きの節はかなり長く声を出し続けるので、能楽師の方は体力も要るな〜と思いましたよ。

能楽師の渡邉茂人先生は、高音が伸びやかに響く良いお声で、うっとりしました。

声も良いし、姿勢も良い。

背筋がピンと伸びて胸をはった美しい姿勢。

良い声は良い姿勢から生まれるのでしょうね。

後に続いて真似っこしてうたってみました。初めての経験でしたが、とても楽しい1時間でした。

ワークショップのあとは能を鑑賞、予備知識が生きてくる

その日の午後には石川県立能楽堂で、能の上演があります(料金別途)。

写謡で学んだ演目が上演されるというタイムリーでナイスな計らい。

わたしも午後からは、能を鑑賞しました。

写謡の会で予備知識をインプットしたので、いつもより楽しんで観ることができました。

見どころのポイントも聞いていたので、実際に鑑賞しながら「ああ、このことね!」と腑に落ちる場面もありました。

写謡の会、能楽ファンとしては参加しない理由が見つからないほどのステキな企画です。

能のワークショップ写謡の会 日程・申し込み方法

能のワークショップ
能のワークショップ「写謡の会」気軽に参加できます

2022年の予定

日程(2022年)曲目(予定)講師(宝生流シテ方)
1/10(月・祝)翁・竹生島髙橋 憲正
2/6(日)鶴亀・熊野佐野 玄宜
3/6(日)巴・小塩藪 克徳
4/3(日)高砂・砧渡邊 茂人
5/1(日)藤栄・須磨源氏髙橋 憲正
6/5(日)雲雀山・鵜飼佐野 玄宜
7/3(日)氷室・籠太鼓渡邊 茂人
9/4(日)小督・殺生石髙橋 憲正
10/2(日)六浦・絃上佐野 玄宜
11/6(日)錦木・大会藪 克徳
12/4(日)和布刈・天鼓渡邊 茂人

詳細・申し込み方法

時間:上記日程の 午前10:15-11:15

場所:金沢能楽美術館3階 研修室

参加料:500円(用紙・教材費込)+金沢能楽美術館の観覧料(一般310円 65歳以上210円)

持ち物:筆ペン

申し込み:金沢能楽美術館 電話 076-220-2790 (休館日:月曜日)

※同日午後に上演される能楽は別料金です。問い合わせ先:石川県立能楽堂 TEL:076-264-2598

金沢能楽美術館
金沢能楽美術館は、金沢21世紀美術館のすぐとなり 松の木が目印

金沢能楽美術館は、能楽のイロハがいっぱい展示されています。

ぜひ一度のぞいてみてください。入館料は一般310円とリーズナブルです。

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