能の演目200曲ほどのうちほとんどは物語に季節が設定されています。
この記事では春夏秋冬に上演される能の演目を、例としてご紹介します。
新年に上演される能の演目
能楽成立以前の特殊な演目です。
能にして能にあらずといわれる、能が今のかたちになる以前の儀式性を残しています。
年初めの新春のほか、能楽堂の竣工などのおめでたい場でも上演されることがあリます。
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春の季節に上演される能の演目
中国の故事に題材をとった作品。
国王が国民のためのまつりごと(正しい政治)を行ったので、三千年に一度花をつけると言う桃の花が咲いた。
精霊であるという女が、国王の正しい政治をたたえて、桃の花を献上する。
後で、桃の実も捧げると言い残し、天に消えてゆく。
やがて、桃の実を携えた西王母(せいおうぼ)が現れ、国王に桃の実を献上する。
一つ食べれば、3000年の長寿を得ることができると言う。
宴(うたげ)となって、西王母(せいおうぼ)は舞い、最後は天に帰っていくのだった。
物語の核は、国土安泰、国土発展です。
おめでたくて縁起の良いストーリー。「羽衣」とも共通する夢見心地の気持ちよさを味わえる演目です
西王母(せいおうぼ)のかぶる冠(かんむり)や、桃の花、桃の実の小道具も美しく、見て楽しめる演目です。
秋の季節に上演される能の演目
加茂の祭りで六条御息所(ろくじょうのみやすどころ)は恋人・光源氏の正妻・葵上(あおいのうえ)に屈辱的(くつじょくてき)な仕打ちを受けた。
車争い(くるまあらそい)である。
恨みをはらそうと、六条御息所(ろくじょうのみやすどころ)は生き霊(いきりょう)となり葵上(あおいのうえ)に取り憑く。
病(やまい)で寝込む葵上(あおいのうえ)に六条の御息所(ろくじょうのみやすどころ)は恨みを語り、もっと苦しむがよい〜〜と呪いの言葉をかける。
演目名は「葵上」ですが、実際に葵上は登場せず、病気で寝込む様子を折り畳んだ着物で表現しています。
削ぎ落とされた抽象化が能の特徴ですが、大胆なまでの抽象化は逆に見ているものをその世界に引きこむ力を秘めています。
みなさまご存じの源氏物語を題材にした演目です。
冬の季節に上演される能の演目
小鍛冶は、名剣とされる「小狐丸(こぎつねまる)」ができあがるまでのストーリー。
京都の刀職人・小鍛冶宗近(こかじむねちか)は公家(天皇に仕える貴族)から、国の命運がかかった何でも切れる剣(つるぎ)を作るよう命じられる。
名剣を打つには、腕の良い弟子が必要だ。
なぜなら、剣を造るには2人がかりで熱い鉄をたたいて伸ばし、息を合わせて交互に打つからだ。
そうすることで、シュッとしたよく切れるかたちに仕上がるのである。
師匠と弟子とが息を合わせて交互に打つ。ここから「相槌を打つ」の言葉が生まれた。
しかし、小鍛冶宗近(こかじむねちか)には、自分に勝るとも劣らぬ腕を持つ弟子が思い当たらない。
悩んだ末、京都伏見稲荷大社にお参りし、神に助けを願った。
そこに現れたのは、神の化身(けしん)。
神の化身は助けてやるから、剣打ちの準備をして待っておくようにと告げて消えてしまう。
その夜小鍛冶宗近(こかじむねちか)のもとに、稲荷明神の化身が現れ、小鍛冶の弟子となって力を合わせ名剣を作り上げた。
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後半の舞と派手な衣装に目が釘付けになったわ〜
神様(稲荷明神)が人間の弟子となって、助けてくれるお話です。
神様が人間に弟子入りするという立場が逆転したストーリーが、珍しい!
神がかった能面と見応えのある衣装(装束)、ダイナミックな舞で、緊迫感あふれる舞台です。
小鍛冶は眠くならない能の名曲!
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最後まで読んでくれはって、ほんまにおおきに〜〜ありがとうございます!