千利休の作ったとされる国宝に指定されている待庵(たいあん)。
待庵は千利休が作った現存する唯一の茶室です。
この記事では、待庵の特徴と見学方法についてお知らせします。
待庵とは?
千利休の作った待庵(たいあん)は、草庵風(茅葺きのひなびた小さなすまい)の茶室です。
広さはわずか二畳という狭さ。
材料に自然素材である、土・竹・紙・藁(わら)などを使い、質素でひなびた雰囲気をかもしだしています。
「侘び寂び」の概念を生み出した千利休の世界観を体現した小宇宙ともいえる空間です。
客が出入りする小さな出入り口を、躙口(にじりぐち)といいます。
上半身をかがめて、頭を低くし、にじる(座ったままひざをたたみに押し付けて、手でグイグイと体を前に進ませる)ようにして入るところからこの呼び名があります。
にじり口を茶室に取り入れたのも、千利休が最初だといわれています。
密室空間である茶室に刀や武器を身につけて入ったならば、同席者も落ち着いて茶など飲んでいられません。
茶室に入る前に手荷物はすべてあずけて、身ひとつで席入りするのです。
戦国の世で大胆ともいえるルールを定めたのが、にじり口を考え出した千利休でした。
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千利休が待庵(茶室)にこめた思いとは?
刀など危険なものはすべて外し、頭を低くして体をかがめて茶室に入ります。
つまり、茶室の中では亭主と客とは対等であると、千利休は考えていました。
戦国の世、殺し合い、裏切り、死と隣り合わせの日々の中でも、茶室の中では身分の違いを越えて、一期一会の一服のお茶を楽しむ、そんな空間を演出しました。
待庵の建築様式は?広さは?狭い?
茶の湯を武士たちの交流の場として使うようになったころは、書院づくりという大広間での茶会が主流でした。
千利休の活躍する時代になって、茶室は武士たちの密談の場所にもなっていきました。
茶室は四畳半が基本でしたが、草庵風の茶室はそれより狭い三畳も好まれました。
茶室をしつらえることは、上流階級の趣味やステイタスでもありました。
建築様式もわりと自由で、遊びを取り入れ趣味嗜好を反映したものが多かったようです。
とりわけ千利休の作った待庵は、二畳というこれ以上狭くできないギリギリの狭さ!
千利休はわずか二畳という狭い空間に、侘び寂びの粋(すい)を集めました。
千利休とはどんな茶人だったのか?
利休が2畳の茶室、待庵に込めた興味深い考察が収められているのが、作家山本兼一氏の『利休の風景』です。
第140回直木賞を受賞した山本兼一の小説『利休にたずねよ』の解説版ともいえる『利休の風景』。
『利休にたずねよ』は市川海老蔵さん主演で映画にもなりました。
なぜ、2畳というこれ以上ない狭さの茶室を作ったのか。
利休と秀吉とは本当は仲が悪かった?
など、千利休の茶人としての人となり、美意識にするどく迫っています。
わたしは、『利休にたずねよ』は繰り返し読みました。
でも、戦国時代の時代や考え方など、今とずいぶん違うので理解に苦しむところもあります。
『利休の風景』は、小説の人物像や当時の時代背景に、ひとつのこたえを示してくれます。
(作家山本兼一氏の考察ですが)
利休のことを知りたければ、『利休にたずねよ』 と 『利休の風景』の2冊がおすすめです。
読む順番は、こちらがおすすめ!
- 『利休にたずねよ』で小説の世界観を味わう
- 『利休の風景』で答え合わせをする
山本兼一氏の無駄のない、しかし細やかな心理描写で、グイグイ読ませます。
一章ごとに群像劇仕立て(登場人物すべてにスポットがあたる)になっているので、ひとつのできごとでも、その人ごとの解釈ができて読み応えがあります。
待庵はどこにある?見学方法は?
千利休の茶室、待庵(たいあん)を見学するには、事前に申し込みが必要です。
ただし、待庵の見学はにじり口から中を見るだけとなっていて、実際に中に上がることはできません。
京都の大山崎町、妙喜庵の中に待庵はあります。
1か月以上前に、往復はがきに、複数日を記載して送る
往信裏:
1.住所、
2.拝観希望者の名前、
3.拝観希望者の電話番号、
4.希望日(時間は指定できません)、
5.人数(最大10名)
往信表:〒618-0071 京都府乙訓郡大山崎町竜光56 妙喜庵 御中
返信裏:白紙のまま
返信表:拝観希望者の住所、氏名
志納金(一人千円)が必要。
申し込み人数は、1グループ10名様まで。高校生以下の方の拝観は拝観できません
■名称:妙喜庵(みょうきあん) 待庵(たいあん)
■住所:京都府乙訓郡大山崎町竜光56
■定休日:月曜日 水曜日(年末年始12/20〜1/15くらいまで)
■拝観料:1,000円
■問い合わせ:TEL 075-956-0103
■アクセス
JR京都駅から・・・JR京都線「山崎」駅下車、徒歩約1分
阪急京都四条、梅田方面から・・・阪急京都線「大山崎」駅下車5分
事前予約なしで見学が可能!復元された利休の茶室
見学のハードルが高い待庵ですが、実は復元された茶室も存在します。
こちらは事前予約なしに見学ができます。
復元といっても精緻に作り込みされていますので、待庵がどんな茶室か見学したい人はこちらもおすすめです。
予約が不要なのが、気軽でいいですね!
■名称:大山崎町歴史資料館
■住所:京都府乙訓郡大山崎町大山崎竜光3番地 大山崎ふるさとセンター2階
■開館時間:9:30-17:00(入館は16:30まで)
■定休日:毎週月曜日(但し祝日の場合は翌日) 祝日の翌日(臨時休館あり)
■入館料:200円
■問い合わせ:TEL 075-952-6288
■アクセス
阪急京都四条、梅田方面から・・・阪急京都線「大山崎」駅下車1分
JR京都駅から・・・JR京都線「山崎」駅下車、徒歩約6分
実際に中に入れる!復元された千利休の茶室「さかい待庵」
千利休の待庵は、千利休の出身地、大阪も堺にも復元されています。
妙喜庵にある待庵を、研究成果に基づき職人が創建当時の姿でよみがえらせました。
茶道に関する展示やお抹茶つきの体験コースです。
本物の待庵はにじり口からしか見学できませんので、実際に中に上がって体感できるさかい待庵は、貴重な場所だといえます!
■申し込み詳細
・さかい待庵特別観覧セット(セット内容:さかい待庵/利休四畳半茶室見学・展示観覧・呈茶)
・ガイドつき
・さかい待庵見学時間 10:00~ 11:00~ 13:00~ 14:00~ 15:00~
(1回10名様まで / 1日5回の時間制 / 事前申込制 )
・申し込み:TEL 072-260-4386
■名称:さかい待庵
■住所:大阪府堺市堺区宿院町西2丁1番1号
■定休日:・休館日 : 第3火曜日(祝日の場合は翌日) 年末年始
■入場料・入館料 : 大人1,000円 高校生800円 中学生以下500円
■問い合わせ:TEL 072-260-4386
千利休の茶室、待庵見学まとめ
国宝の待庵は、本物と複製が2箇所に復元されていることがわかりました。
往復はがきでの申し込みの手間をかけてでも本物を見たい人は、国宝の本物の待庵を
興味はあるけど申し込みが手間だという人には、大山崎町歴史資料館にある復元待庵を(予約なしでOK)
本物と近い世界観を味わってみたい人は、さかい待庵がおすすめです。
こんな人に | 名称 | 本物か復元か | 申し込み | 料金 | 備考 |
ぜひ本物を見たい! | 妙喜庵の待庵 | 本物 国宝 | 1か月以上前に往復はがきで | 1,000円 | にじり口からmの見学のみ(茶室の中には入れない) 撮影NG |
興味はあるけど申し込みなしで見たい | 大山崎町歴史資料館 | 復元 原寸大模型 | 予約不要 | 200円 | 外からの見学のみ(茶室の中には入れない) 撮影NG |
本物と近い世界観を味わいたい | さかい待庵 | 復元 原寸大茶室 | 電話予約 | 1,000円 | 実際に中に入って、世界観を味わうことができる お抹茶つき |
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最後まで読んでくれはって、ほんまにおおきに〜〜ありがとうございます!
利休の見ていた風景をわかりやすく解説してくれる良書↓ かなりおすすめです↓