ネギ焼きしよ(訳:お好み焼き作ろう)思たけど、メリケン粉がなかったわ
今度こうてくるわ(訳:買ってくる)
わたしが子どもだった昔、昭和20年代生まれの母は小麦粉のことをメリケン粉と言っていました。
メリケン粉が小麦粉を指すのは、子どものわたしにも理解できていました。
メリケン粉は関西弁?方言?
メリケン粉は、関西弁です。
というか、関西の特定の年代の人たちは、今でも小麦粉をメリケン粉と言います。
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どことなくハイカラなことばの響きに、メリケン粉で作ってもらったネギ焼きは、とてもおいしかったのを覚えています。
水で溶いたメリケン粉をフライパンに流し込んで薄く広げ、刻んだネギを大量に投入し、紅しょうがや刻んだかまぼこ、天かすを加えて焼きます。
半分に折って、ソースを垂らし、カツオ節をちらしてできあがり。
子ども心にメリケン粉は、なんとなく関西弁なんやろうな〜とは思っていましたが、
私が大人になってからは、まわりでメリケン粉ということばはとんと耳にしなくなりました。
メリケン粉は、明治から大正時代にかけて、アメリカから輸入された小麦粉を指すことばとして広まりました。
昭和になっても引き続き使われていたようで、わたしの母は昭和20年代生まれですが、今でも小麦粉をメリケン粉と言っています。
わたしは関西在住ですが、調べたところ福井〜富山のあたりでも、昭和20年代生まれの人たちが使っていた事実が確認できました。
なので、関西弁というよりは、昭和20年代生まれの人たちが使っていたむかしの呼び名という一説もあります。
ただ、関西の特定の年代の人は今でもメリケン粉と言いますので、あながち関西弁と言っても間違いではなさそうです。
粉もん文化が根付いている関西で定着し、方言化したのかもしれません。
メリケン粉の語源・由来
メリケン粉の語源には、「コーヒー」と同じような和製英語?日本語?のエピソードがあります。
明治政府が黒船を受け入れ鎖国を解消すると、アメリカとの貿易が始まりました。
アメリカ人のネイティブな発音は、アメリカの2音め「メ」にアクセントをおくため
アメリカ → メリケン
とそのころの日本人には聞こえたようです。
アメリカ人のことを、メリケン人 と言い
アメリカから輸入された小麦粉をメリケン粉と呼ぶようになりました。
メリケン粉という呼び名は、昔は全国で使われていました。
コーヒーもメリケン粉と同じく、アメリカ人の発音を日本語的にしたものです。
アクセントをどこにおくかで、聞こえ方もちがい、日本語的になおすとメリケン粉になったというわけです。
メリケン波止場は神戸港にあった波止場、メリケン粉との関係は
明治政府が神戸港にアメリカ船を寄港する波止場を整備し、のちにメリケン波止場とよばれるようになりました。
波止場の近くにアメリカの領事館があったことから、アメリカ → メリケン メリケン波止場と名がついたのです。
死語になったメリケン粉、ことばは時代ともに世代で変わる
わたしも母になり、よく子どもや家族に小麦粉でお好み焼きを作りました。
わたしたちの世代はもう、メリケン粉とは言いません。
ことばは生きもの、世代で変わっていくのはしかたがありません。
でも、久々にメリケン粉ということばを持ち出したら、むかしの思い出がよみがえってきました。
メリケン粉懐かしき。
外国文化に憧れた明治のころに生まれたことばだったとは!
文明開花のにおいや空気までもまとったようなメリケン粉の響きに、ノスタルジックな気分になりました。
わたしにとっては、子どもの頃に母が焼いてくれたネギ焼きの思い出に重なります。
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