悲劇の能には心を浄化させるカタルシス効果が!心を解放してリフレッシュ!

あなたはストレスがたまったとき、どんなふうにして解消しますか?

お酒をのむ
映画やテレビをみる
友人や知人とおしゃべりする

ストレス発散にもいろいろな方法がありますが、「泣く」とことはため込んだ「毒」を涙と一緒に外に出しデトックス効果があるといわれています。

能にも泣いてストレスを発散する演目が多くあります。

この記事では、能を見るとなぜ心がスッキリするのかについてお伝えします。

カタルシス効果とは?

カタルシスとは、ギリシャの言葉で、哲学者のアリストテレスは演劇用語で使いました。

悲劇を見ると、心の中にかかえこんでいた気持ちを解放し、気持ちがスッキリするというような意味です。

悲しい映画を見てボロボロ涙を流すと、非常にすっきりとした気持ちになった経験はありませんか。

わたしたちはふだん、感情を隠そうとします。

隠していた感情を外に出してすっきりする状態をカタルシス効果といいます。

能は祈りの芸能

能の起源は中国大陸から伝わった散楽(さんがく)が元になっています。

日本古来の五穀豊穣を祈る宗教行事の舞と融合して、室町時代に世阿弥(ぜあみ)によって「能」として確立されました。

世阿弥(ぜあみ)は能の多くの演目で、あの世から幽霊を登場させて、恨みつらみやこの世に残した思いを語らせました。

幽霊である主役・・・能では主役のことを「シテ」といいます・・・は、涙を流し自らも祈りながら舞を舞い、地謡(じうたい)・・・ふしをつけてうたう人・・・の祈りのうたでなぐさめられます。

舞を舞うことで、報われなかったこの世での人生が救われて、あの世へと帰っていきます。

能は人間の悲しみをいやし魂を救う祈りの芸能です。

涙を流すと心が浄化されるのはカタルシス効果

泣くと気分がスッキリしたり、人につらい話を聞いてもらうことで吐き出せてさっぱりしたり、そんな経験を持っている人もいるでしょう。

私も自分の感情を処理しきれなくなったときは、ポロポロ涙をこぼし、悲劇のヒロインになって気の済むまで泣いたことが何度もあります。泣くだけ泣いたら、あとはけろっとして気分スッキリ。

不安や緊張の原因を、行動によって解放することを、心理学では「カタルシス」といいます。

能の主役の幽霊も、抑えていた感情が堰(せき)を切ったようにあふれ出し、気の済むまで吐き出します。

言いたいことも言えずにあの世へといってしまったわけですからねぇ。

せめて能舞台で聞いて差し上げましょう。

能の主役は涙を流す

人間でもそうですが、言いたいことをためるのは精神衛生上よくありません。まして能では幽霊になってさえ思いを外に出せずにいたのですから、なおさら。

今と昔とでは価値観も違いますが、正直に口に出すことがかなわなかった時代でした。

言いたいことも我慢してぐっとこらえ、我慢の限界点に達すると怒りが爆発して般若(はんにゃ)のような鬼に変わってしまうのですから。

能は見終わったあと、妙にすがすがしい気分になることがあります。

能の主役の泣く演技に、自分を重ね合わせて見てしまうからではないかと、私は感じています。

とにかく能では、始めから終わりまでずっと悲しみがただよいます。研ぎ澄まされた悲しみの表現に心をさらわれてしまいます。

世界にどっぷりひたったあとは、かかえていた荷物をおろしたような、さっぱりとした気分になるのです。

まとめ〜能をみて泣くことでリフレッシュ!〜

ふだん生活していると、気づかないうちにストレスをため込んでいることがあります。

能を見ると心がスッキリするのは、ふだん意識していない部分が、能をみることで意識させられ悲劇の主人公になり切ってリフレッシュできるからだと思います。

能の見かたのひとつとしておためしください。

最後まで読んでくれはって、ほんまにおおきに〜〜ありがとうございます!