二宮和也主演の映画、『浅田家!』
写真のチカラを信じて家族を撮り続けた写真家が、写真を撮る意味を見出していくものがたり。
この記事では、浅田家!のあらすじとわたしの個人的な感想を書いています。
浅田家!あらすじ
浅田家!は、大きく分けて二部構成になっています。
前半は、写真の道に進むと決めた正志がスランプを脱出するまでが描かれています。
写真専門学校に進み、ひととおり写真の技術は身に付けた正志でしたが、卒業制作の課題で悩んでいました。
一生にあと一枚しか写真が撮れないとしたら?そんな課題に、悶々(もんもん)としていたとき、4年ぶりに戻った実家で、子ども時代の思い出がよみがえり・・・
写真家になりたい!と決定づけた出来事を今、このタイミングでもう一度再現し、レンズに収めたいたいと思うのでした。
写真で家族のものがたりを撮りたいと、正志は家族を巻き込み奮闘します。
後半は、卒業制作の企画が当たり写真界の芥川賞といわれる木村伊兵衛写真賞(きむらいへいしゃしんしょう)を見事受賞!
プロの写真家として食べていける道筋ができました。
そんなとき、東日本大震災が発生。
家族を亡くした人に写真家として何ができるのか、自問する日々が続きます。
写真とは、ただレンズをのぞいてシャッターをきるだけではなく、撮る人と撮られる人との関係性の上にあることに気づきます。
浅田家!感想。泣ける!何?この感動!
上京する正志を見送る津駅でのシーンは妙にリアリティがあって
風吹ジュンさん、妻夫木聡さん、本当に自然でナチュラルな演技がすばらしい!
上京しても成功する確証もないのに、正志が東京へと旅立っていく。
二宮和也は浅田正志になりきっていて、駅の光景、母と兄のお見送りのシーンも本物にしか見えません。
駅での別れというだけでも感傷的になるのに、母親(風吹ジュン)の明るくも心配そうな微妙な表情は、もはや本当の母親です。
涙が出ました、正志、母、両方の気持ちがわかるから。
加えて、兄の心憎い気づかいにまた涙が・・・
電車に乗ってから、兄(妻夫木聡)が用意してくれたアルバムにジーンとくる正志(二宮和也)。
お涙ちょうだいではなくとも、こんな演出、涙するしかありません。
浅田家!ノリのよすぎる家族、両親!
正志が専門学校の卒業制作にコスプレ家族写真の提案をしたとき、乗り気でない兄をよそに両親揃ってノリノリでした。
浅田家!は、ノリのよすぎる両親のリアクションが面白い!
本当に楽しい明るい家族です!
正志は心から家族写真を撮ることを楽しんでいます。
特に母親(風吹ジュン)がいちばん楽しんでいます。
これだけ「なりきり」になれる家族もめずらしいと思います。
実話ということですから、浅田正志さんの家族はラテン系で陽気で明るい家族ですね〜
Amazonプライムビデオ【30日無料体験】で「浅田家!」を観る
浅田家!モデルは本人、エンドロールの後でリアル家族が登場
キャスティングが「本人」役という例も、映画ではありそうでなかった設定だと思います。
設定が、新鮮ですね!
エンドロールの後で浅田家の本当の家族写真が流れますが、映画中で撮影された写真とほぼ同じです。
ていうか、映画が再現なんやった!と気づくほど、浅田家!になり切った二宮和也さん、風吹ジュンさん、妻夫木聡さん、平田満さんらキャスト。
映画のリアリティーがすごかっただけに、本物がかすんで見えたのは、わたしだけ?
それくらい、二宮和也さん、風吹ジュンさんはじめ、キャストが本人になりきっていました。
二宮和也さんはじめ浅田家を演じるキャストは撮影に入る前、リアル浅田家と対面して浅田家!の空気感を共有したということです!
浅田家!東日本大震災でのエピソード
東日本大震災で父親を亡くした莉子が、家族写真を撮ってほしいと正志に頼んできます。
正志は莉子と父親の思い出の海岸で、家族写真を撮る提案をするのでした。
当日、正志はいつも莉子が腕につけている父親の形見の腕時計をわざと借りて、シャッターを切ります。
その瞬間、莉子は父親を見たのです!
父親は写真を撮ってくれるとき、いつも腕時計をしていたことを思い出します。
父親はいつも「写真を撮る人」でした。
莉子は父を亡くした悲しみをこらえ、とびっきりの笑顔でフィルムに収まるのでした。
浅田家!写真のチカラは偉大!
写真家になるということは、商業写真を撮ることです。
商業写真とは、テクニックだけで撮れるのではありません。
写真のチカラとは何か?
正志は、家族写真に家族のものがたりを描こうとしています。
コスプレ写真であれば、まず企画があり、家族メンバーが予定を合わせて集まって、演技して撮る。
家族といえども、みなそれぞれに仕事の都合などある中で、写真のために時間をつくって集まる。
一枚の写真を撮るために、企画・準備・シナリオなど見えないところに手をかけます。
そうして出来上がった一枚の写真は、あたたかな家族の時間を記録したものです。
しあわせを記録することで、生きる勇気を与えてくれる、それが写真の力だと思います。
家族の数だけ、人の数だけ、写真の力があります。
写真とはテクニックで撮るのではなく心で撮ることを教えてくれる映画です。
撮る人と撮られる人との関係性やシチュエーションが写真に焼き付けられます。
わたしも思い出の家族写真を引っ張り出して眺めてみたくなりました。
浅田家!は、大事なものに気づかせてくれる映画です。