おかめといえば、福々しい(ふくぶくしい)下ぶくれ(しもぶくれ)のお面です。
関東に本社のある納豆のキャラクターにもなっていますね。
おかめとよく似たお面におたふくがあります。
おかめとおたふくは何がどう違うのでしょうか?
この記事では、おかめとおたふくの違い、能面との違いについてもお伝えします。
おかめとおたふくの違いは?お福と福助との関係
ところで、「おかめ」と「おたふく」は違うのでしょうか?
調べてみました。
そもそもモデルとなった女性が違います。
おかめ
「おかめ」は内助の功で夫の名誉を守った女性「おかめ」がモデルです。
京都の千本釈迦堂の建築を依頼された宮大工の夫は、うっかり間違って1本の柱を短く切ってしまいました。
夫が困り果てているのをみた妻のおかめは、あとの3本も短く切ったら何とかなるのではとアドバイスします。
夫の仕事に妻が口出ししたことが世間に知れると、夫の面目がまるつぶれになると心配したおかめは、自ら命を経ってしまいます。
夫のために命を投げ出してまで、夫を助けた妻に夫は感謝し、のちにおかめの面を彫ってかかげたといわれています。
おたふく
京都に「福」という貧しい家に生まれた女性がいました。
ある日、偶然にも呉服商で財を成した福助さんに一目惚れされてプロポースされます。
福は結婚を受け入れ、玉の輿に乗ったと伝わっています。
今でも商売屋さんでは「お福人形」と「福助」を一緒に飾ったりすることからも、夫婦円満の象徴ともされています。
おかめとおたふくの違い、お多福は縁起物?新春福笑いや節分の豆まきでメジャーなおたふく!
このようにおかめとおたふくはモデルになった女性が違いますので、おかめとおたふくは使われ方も厳密には違います。
おたふくは漢字で、「多い福」と書き、読んで字のごとく縁起のよい縁起物です。
おたふくの親しみやすい福顔は、江戸時代には庶民の間で人気を集めていました。
節分のお多福がいつから始まったのか、節分でおたふくが登場する意味についてお伝えしています。
節分の頃になると、豆まきの豆とお多福と鬼のお面をセットにしたものを見かけるようになります。節分ではなぜお多福が用いられるのでしょうか。この記事では、節分のお多福がいつから始まったのか、節分でおたふくが登場する意味についてお伝[…]
節分の豆まき、鬼は外〜福は内〜でもおなじみのお多福(おたふく)は、福を呼び込むということで、江戸時代あたりから豆まきにも使われるようになりました。
お多福の明るい笑顔で、しあわせを呼び込んでくれますように。
お正月の福笑いも、江戸時代に始まったといわれています。
おかめと能面は関係あるの?
白塗りの顔におちょぼ口、おかめと能面とは、どことなく似ていますね。
それもそのはず
能と兄弟関係にあたる狂言では、「おかめ」によく似た面を使う演目があります。
「おかめ」のもととなったのは、狂言で用いられる面「乙(おと)」だといわれています。
「乙(おと)」は能の女面をふくよかにして笑顔にしたような顔立ちです。
にこやかな笑顔の面ですが、だんごっ鼻で口がゆがみ、失礼ながら不美人です。
狂言面の「乙(おと)」と似たような面に「ふくれ」もあります。
狂言ではふつう面が用いられない演目がほとんどなのですが、例外として20ほどの演目では、面が使われます。
狂言の面はデフォルメされた滑稽(こっけい)さが特徴です。
つまり笑いの芸能・狂言では、面も大げさにしているのです。
能の合間に案演じられる狂言では笑いの要素を大切にするため、こっけいな面でこっけいな人を演じます。
能面をデフォルメしたのが狂言面だとすれば、おかめは能面と狂言面を足して2で割った面と言えそうです。
おかめと能面の違いは?女優と近所の女の子
能面の美人の部分と、乙の笑顔の部分を足して2で割ったいいとこ取りがおかめの顔だといえそうです。
ツンとすました能面の「小面(こおもて)」
ブサイクな狂言面の「乙(おと)」
能面が女優だとすると、狂言面の乙はお笑い芸人!
能面の美人の部分と、乙の笑顔の部分を足して2で割ったいいとこ取りがおかめの顔だといえそうです。
おかめは、近所にいそうなちょっとかわいい女の子
そんな親しみやすい雰囲気の顔立ちが「おかめ」なのです。
おかめと能面との違いをわかりやすくいうと、近所のちょっとかわいい子と女優。
こんな違いがありますよ〜
狂言面「乙」が不気味だった話!
「乙(おと)」は不美人として登場することが多い狂言特有の面です。
にこやかな目もと、ほほえんだ口もと、一見フレンドリーではあるのですが、わたしにはどう見ても不美人という枠ではくくれない不気味さを感じるのです。
以前に見た狂言の演目「二九十八(にくじゅうはち)」に出てきた乙の話です。
あ、ちなみに二九十八とはかけ算の九九の、2×9=18のことです。
京都のまちなかの18番めの家に住んでいることを、遠まわしに言ったのです。
乙(おと)は、自分の顔がみにくいことをわかっていてずっと顔をかくしていたのですが、さすがにかくしきれなくなってかぶりものをとると・・・
表れた顔にびっくり!
色は浅黒く、鼻は上を向いて口元がゆがみ、まるで妖怪(ようかい)のような不気味さ!
ブサイクの役のためにわざわざ作ったようなブサイクさでした
昔のことばで醜い(みにくい)女性を「悪女」というのですが、悪いけどブサイクでしたわ〜〜〜
狂言面「乙」は流派や演目によって違った顔立ちの「乙」もあるそうですが、この日みた乙は、ほんまにグロテスクでインパクトありすぎでした。
おかめって美人なの?醜女っていう説も!
狂言面の不美人の面「乙(おと)」の口もとのゆがみなどを修正して、福顔にしたのがおかめです。
にこやかな笑顔のおかめは「福顔」です。
美人というにはちょっと違う気もします。
でも、昔は下ぶくれのふくよかな顔立ちが美人とされていましたから、昔はおかめのような顔立ちが美人だったのかもしれません。
どちらにしても、狂言の「乙(おと)」は、醜い女=不美人とされていますが、おかめは「乙(おと)」を福顔にしたものであり、美人か不美人かの判定は見る人におまかせしましょう。
まぁ、狂言面の乙をいっぺん見てみはったら、おかめがどれだけ愛嬌があってかわいらしいかわかると思いますよ〜
おかめ、おたふくの違いとお面
おたふく(おかめ)は狂言の面から発展して福顔になり、こんにちでは福を呼び込む顔として親しまれています。
縁起のよい響きから、お店名や企業名、商品名まで、幅広く使われています。
最後まで読んでくれはって、ほんまにおおきに〜〜ありがとうございます!