桂離宮|数寄屋造りと書院造りが融合した建築様式!建築家も絶賛した茶室・庭の美「黄金比」とは?

日本の名建築のひとつ、桂離宮。

江戸時代、八条宮家(はちじょうのみやけ)の智仁親王(としひとしんのう)とその子、智忠親王(としただしんのう)によって、50年の歳月をかけてつくられました。

日本建築と庭園との調和がみごとです。

一度は見てみたい名建築は、予約が取れない建築として有名です。

 

桂離宮の建築は、数寄屋造りと、書院造りが合わさった建築様式です。

数寄屋造りとは、茶室をしつらえた建築様式のこと。

書院造りとは、床の間や違い棚のある日本建築のこと。

 

茶室、庭は、数寄者(すきもの)=風流を好む上流階級の人 好みのセンスが光るしつらいです。

この記事では、桂離宮の美しさのポイント、数寄屋造りや黄金比についてお伝えします。

桂離宮は誰の設計?いつ建てられた?

桂離宮は江戸時代に、皇室の八条宮家(はちじょうのみやけ)の初代・智仁親王(としひとしんのう)によって建造されました。

桂離宮は皇室の八条宮家(はちじょうのみやけ)の別荘として建てられ、京都の西、嵐山に近い一帯は貴族の別荘地でした。

その後、二代・智忠親王(としただしんのう)によって手を入れて再生し、その後も増築が何度か行われ、今に至っています。

 

初代・智仁親王(としひとしんのう)は、学問、文芸にすぐれていたといわれ、桂離宮の設計も自ら設計したのではないかといわれています。

桂離宮は戦争や火災にもあわず現在まで、創建当時の姿が残されています。

建築家もたたえた桂離宮の魅力とは?美しさのポイントは?

桂離宮の書院は古書院・中書院・新御殿の3つの部分からなる
桂離宮の書院、古書院・中書院・新御殿の3つの部分に分かれている。縦横の直線美が美しく、水平の広がりが感じられる

桂離宮が広く知られるようになったのは、昭和の初めに来日したドイツ人建築家の、ブルーノ・タウトの影響でした。

ブルーノ・タウトは、貴族の別荘であった桂離宮を「涙がで出るほど美しい」とたたえました。

 

外国人建築家によって見出された桂離宮の魅力は、どんなところにあるのでしょうか。

 

木と紙、草などすべて天然素材で作られたその外観は、いかにも日本らしさを感じさせます。

木・紙・草 と、自然からとれる素材をそのまま建造物に使っています。

柱は木

障子は紙

屋根は板

自然素材ではありますが、土着的にならずに、スタイリッシュささえ感じさせるのは、設計の妙とでもいえましょう。

 

美しさのポイントを一言でいうならば、簡素ながら計算されたすっきりとしたたたずまいではないかと、わたしは思います。

水平・垂直の直線を基本とした構成は、幾何学的な美しさを感じます。

縁側を支える華奢(きゃしゃ)な柱は、すらりとしたエレガントな印象

装飾がなく簡素でありながら、品格が感じられます。

無駄を削ぎ落とした上質なエレガンスは、住む人を選びそうな家です。

 

珠緒
なんせ貴族の別荘ですからね、まぁ、実際住む人をめっちゃ選ぶんですが(笑)
装飾にたよらず、厳選された素材で建てられた別荘。
日本の美は引き算の美学とも言われますが、まさに体現したような外観です。

 

桂離宮の建築様式は数寄屋造り?書院造り?どんな様式?

桂離宮の松琴亭
桂離宮の松琴亭(しょうきんてい)は、草庵のたたずまい。内部は斬新な意匠が見られる。

桂離宮の建築様式は数寄屋造と書院造が融合しています。

数寄屋造りとは

数寄屋造(すきやづくり)とは、茶室をしつらえた建築様式のことです。

茶道や華道などの風流を好む人のことを数寄ものといいますが、数寄ものが趣向をこらしてつくった家という意味です。

数寄屋造に決まったかたちはなく、住む人の感性が生かされます。

基本的には、千利休の説いた侘び寂びの世界を具現化しています。

無駄なものを削ぎ落とし、装飾をおさえすっきりとした印象を与えます。

 

珠緒
わかりやすくいえば、センスのある建物ということですね!

現代でいえば、和モダンが数寄屋造に通じるものがあります。

 

桂離宮の笑意軒(しょういけん)の意匠
桂離宮の茶室の一つ、笑意軒(しょういけん)の意匠。心憎いまでのさりげなくも、斬新なデザイン。

 

書院造りとは

書院造とは、武家社会で発展した建築様式です。

書院とは書斎のことで、書斎に違い棚や床の間などを造り付けた日本家屋の基本ともなった建築様式です。

床の間の掛け軸やしつらいで主人の権力を表現します。

武家社会ではこの部屋に客人たちを招き、茶会を催しました。

桂離宮の意匠がさりげなく、斬新すぎる!

桂離宮には4つの茶室があります。

もっとも格式が高いとされるのが、松琴亭(しょうきんてい)と名付けられた茶室です。

この茶室の一の間(いちのま)とよばれる部屋のふすまは、白と青の和紙が市松模様に貼られています。

大きめの市松模様は、大胆かつモダン。

 

当時としては冒険的な試みだったと思いますが、八条宮家(はちじょうのみやけ)の美意識すごいです!

おしゃれすぎます!!

これが300年以上昔のデザインだとは!

美しいものは、時代を超えるのですね。

 

珠緒
このデザインセンス、ひらめいたわけを聞いてみたい!クリエイター気質があられたのですね、八条宮親王さま〜

桂離宮の建築の美しさには黄金比が!

桂離宮の外観、内観、デザインが美しいのには理由があります。

整数の対比

1つに、日本独自の整数の対比が建物のすみずみにまで使われているからです。

日本人は大陸から伝わった1、3、5、7など奇数を縁起の良い数とするならわしがありました。

そしてその整数の対比は、建築物や内装にも応用されました。

たとえば、1対2 の比率は畳のサイズです。

この比率は、畳を何枚敷き詰めてもすきまなく長方形になる無駄のないすぐれた比率です。

畳の数によって、6畳、8畳、12畳などに

また一枚の畳を半分にして4畳半にもなります。

シンプルながらよく考えられた数字だと感心します。

黄金比

2つめに、黄金比がかくされているからです。

黄金比とは、西洋の美の基準となる比率です。

 

日本の整数比でよく知られている1:2の畳のほかにも、3:5 や 5:8などの整数の比率は、建築にも使われました。

日本の整数比の5:8は、西洋の黄金比 1:1.618 に近い、1:1.6  になります。

つまり、日本の美の尺度は、西洋の美の基準と言われる黄金比にほぼ近い数字を内包しているのです。

 

桂離宮は構造体や障子などの建具、調度品にいたるまで、整数比が使われています。

畳に代表される 1:2 であったり、あるいは 5:8 であったり、と。

1:2で分けるパキッとした割り切れる感の気持ちよさと、

西洋の黄金比に近い 3:5 や 5:8  などのちょっとあまりが出る感覚をうまく調和させているのです。

日本の美の基準である等量分割と、西洋の美の基準である黄金比が絶妙に組み合わされ調和しているといえます。

 

ドイツ人の建築家、ブルーノ・タウトが桂離宮を絶賛した理由は、このあたりにもあるのではないでしょうか。

桂離宮、見学予約はオンラインで!

桂離宮は一般人も見学できます。

宮内庁のWEBから予約できます。

しかしながら、一日の定員が20名ということで、常に3か月待ちの状態です。

特に11月の紅葉シーズンは人気が高く、早くから予約が埋まります。

3か月先の予約で早めに計画されることをおすすめします。

 

オンライン枠が満席でも、電話予約は別枠がありますので、問い合わせてみるのもありでしょう。

 

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